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再生医療で健康寿命を延ばしましょうセミナーPart4 〜寺尾医師によるフレイルについて〜

2023年01月25日(水)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。
前回の幹細胞治療の概要のパートに続きまして、今回は身体的フレイルについてのパートになります。

前回の内容はこちらから

再生医療で健康寿命を延ばしましょうセミナーPart3〜寺尾医師による幹細胞治療の概要編〜

幹細胞の局所投与と点滴投与の違い

局所投与
局所の細胞濃度を上げたい時に使用します。
特に、関節の内部は血流がとても悪いところです。
点滴で投与しても、血流に乗って関節の中には届きにくいです。
そのため、関節内部にアプローチする時は、注射などで関節内部に直接幹細胞を注入していきます。

点滴投与
広範囲に作用させたい時に、点滴で使用していきます。
広い範囲で痛みがある場合や、局所に投与しにくい場合に行います。
神経的な痛みがある場合は、比較的届きやすい傾向にあります。
当院では、慢性疼痛・フレイル・脊髄損傷に対して点滴治療を行っています。
慢性疼痛とフレイルの症状についてお話しします。

慢性疼痛(まんせいとうつう)とは

慢性疼痛の定義としては、3ヶ月以上継続する痛みの事をいいます。
痛みといっても関節や内臓の組織が傷ついた時に起こる侵害受容性(しんがいじゅようせい)の痛みや、神経が傷ついた時に起こる神経障害性の痛み、ストレスによる心因性の痛みなどがあります。
いずれの原因にしても、3ヶ月以上継続しているものを慢性疼痛と呼びます。

以前は病気に付随して痛みがあるものだと考えられていましたが、近年では痛み自体を病気と捉えて対処していくという考え方になってきています。
ただ、痛みの要因は様々です。

代表的な要因として以下の様なものが考えられます。
・器質的要因→原因になる病気が残っている
・心理社会的要因→痛みによる鬱状態など
・神経的要因→抹消神経への白血球の迷入など
対処としては薬や塗り薬、痛み止めなどを使う事が一般的です。


この痛みの要因のベースに慢性炎症というものが関与しているといわれています。

フレイルとは

日本老年医学会が提唱している定義としては、「加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」とされています。
英語の語源はFrailtyといい、日本語に訳すと虚弱・老齢・脆弱などの意味があります。

フレイルの種類としては以下の様な項目があります。
・身体的フレイル→心肺機能の減少や歩行速度の低下など
・精神心理的フレイル→身体的フレイルに鬱傾向が合併
・認知的フレイル→身体的フレイルと認知機能障害が併存
・社会的フレイル→独居、近隣住民との交流、社会参加、主観的経済困難感
・オーラルフレイル→口腔機能の低下(日本で考案)

簡単にいうと、健康な状態と介護が必要な状態の中間のところにいるレベルです。
この中間の状態で治療して健康な状態に戻れると、介護が必要なレベルにいかなくてすみます。
基本的には身体的フレイルがベースとなり、それにプラスして精神的なものや社会的なものが絡んできます。
今までは健康か介護かという評価しかできなかったのですが、フレイルと名前を付けて治療をしていく事で、介護のレベルにいく前に食い止める事ができます。
このフレイルの原因も、慢性炎症が絡んでいるといわれています。

身体的フレイルとは

筋肉が落ちてしまって、以下の様な動きが低下する事を身体的フレイルといいます。

・活動性の低下
・筋力低下
・動作緩慢(歩行機能低下)
・疲れやすさの増悪
・体重減少
さらに具体的に診断基準としたものがこちらです。

この基準のうち、3項目以上あてはまった場合は身体的フレイルと診断します。
1〜2項目当てはまったら、フレイル予備軍であるプレフレイルと診断します。
それぞれの項目について詳しく話していきます。

疲労感
まず一番初期に出やすいと言われているのが、この疲労感です。
特に何をしたわけではないのに、ここ2週間訳もなく疲れた様な感じがする」といった症状です。
体の変化の初期は、この様な漠然とした状態から始まる事が多いです。

筋力低下
筋力低下を測る指標として、握力を測定していきます。
男性であれば28kg、女性であれば18kg以下になると筋力低下の項目に当てはまります。

歩行速度
歩行は1m/sという速度が基準になります。
これは、1秒で1m進めなくなったら歩行速度が低下したと判断します。
青信号の横断歩道を渡りきれなかったら、歩行速度が低下という判断をします。
社会活動をするのに支障が出てきた場合は、この項目に該当します。

身体活動
こちらは質問形式になっていまして
1、軽い運動をしていますか?
2、定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2ついずれも週1回もしていない

という質問に該当するかを評価します。
やはり定期的な運動をしていないと、身体の機能が落ちてしまいます。
家で過ごすだけでは足腰が弱ってしまうので、定期的な運動を取り入れる事で身体的フレイルから抜ける事ができます。

体重減少
6ヶ月で2kg以上の意図しない体重減少があると、この項目に当てはまります。
特にダイエットしていなくて、2kg以上の体重減少があると要注意です。
他の項目も当てはまって体重減少が見られると、介護状態に移りやすくなるので早めの治療が必要となります。

身体的フレイルの類似概念

先ほど紹介した身体的フレイルの基準とは別の概念があります。

サルコペニア
加齢に伴って筋力が低下する事を、サルコペニアと呼びます。
サルコペニアの和訳としては、筋肉と喪失を意味するギリシャ語を組み合わせた造語です。

ロコモティブ・シンドローム(ロコモ)
寝たきり介護状態の手前を、ロコモティブ・シンドロームと呼びます。
変形性膝関節症や脊椎疾患など運動器の障害によって移動機能が低下した状態です。
立ったり、歩いたりする機能が低下する事により、介護状態へ近づいていってしまいます。

カヘキシア
癌や慢性腎不全など慢性的に炎症が起きてしまって、代謝障害により痩せていってしまう状態を、カヘキシアと呼びます。
痩せてしまい身体の機能が衰える事で、介護状態に近づいてしまいます。

身体的フレイルへの標準的な対策

身体的フレイルがあった時は、栄養的な介入と運動的な介入をしていくのが基本的な治療になります。
栄養的な介入は、体の筋肉を作るために必要なタンパク質をしっかりと摂ることです。
だいたい1日に50〜60gのタンパク質が必要になってきます。
腎臓の機能が落ちている方は、タンパク質を大量に摂るのは良くないので注意が必要です。

また、タンパク質と一緒にビタミンDも必要になってきます。
ビタミンDは骨粗しょう症の予防に有名なのですが、免疫機能を調整する役割も担っています。
フレイルの状態で風邪を引いてしまうと、肺炎にもなるリスクもあるのでしっかりとビタミンDも摂っていきたいところです。

運動的な介入としては、走ったりする有酸素運動だけではなく筋力アップのためのレジスタンス運動も行うことです。
ジムでバーベルを持って行う運動ではなく、椅子から立って座るスクワットの運動であったり、膝をついて腕立て伏せをするなどの軽めのレジスタンス運動が必要です。
また、年齢を重ねると関節の動きも硬くなってきますので、ストレッチも大切な運動になってきます。
関節が硬くなってくると、思う様に体を動かせなくなって転倒するリスクもあります。
基本的には運動をして筋力をアップさせていく事が、身体的フレイルの治療になってきます。
これでも改善されない場合は、ベースとなっている慢性炎症を取り除く治療をしていきます。

次回のパートでは慢性炎症と幹細胞点滴治療についてお話ししていきます。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。

何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味がある方は、当院の公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。

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