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幹細胞治療はなぜ投与日の日程変更ができないのか?

2025年11月20日(木)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。
お茶の水セルクリニックでは、幹細胞治療を受けていただく際に「細胞投与の日程は変更できません」とご案内しています。

「急に体調が悪くなってしまった」「仕事の都合で行けなくなった」など、投与する直前に風邪をひいてしまったり予定が変わってしまっても、残念ながら当院では日程の変更をお受けすることができません。

患者さんには大変ご不便をおかけしていますが、これには重要な理由があります。
今回は、なぜ日程変更ができないのか、その変更できない理由についてお伝えしていきます。

1. お茶の水セルクリニックは「生細胞」で治療しています

お茶の水セルクリニックでは、「生細胞」と呼ばれている状態で細胞を投与しているため、投与日に合わせて ピンポイントで培養を行っていきます。
「生細胞」の定義というものははっきりとしていません。
医学的な単語でもありませんがここでは、投与直前に凍っていない幹細胞を指します。

2. 細胞培養は「逆算スケジュール」で進む

細胞を増やす時は、フラスコの中で細胞を増やしていきます。
細胞は培養を始めると、分裂して増えていきます。
投与日に培養に使用しているフラスコが満タンになるように計算して増やしていきます。
特に脂肪由来の幹細胞は24時間~48時間くらいで倍になります。
ピークを迎える翌日に細胞を使おうとすると、予想していたものの倍の量になってしまうことがあります。

細胞が倍になったら量が多くて良いではないかと考える事もできますが、フラスコが満タンになっている状態で倍になってしまう事になります。

3. 細胞が増えすぎると何が起こるのか?

問題① 細胞の代謝が落ちる

フラスコの中が満タンになった状態でさらに細胞が倍に増えるとギュウギュウの状態になってしまいます。
するとまず細胞の代謝が落ちてきてしまいます。

問題② 幹細胞が別の細胞に変化する

また、本来幹細胞でいてほしいものが線維芽細胞など他の細胞に自然に変化してしまうことがあります。
幹細胞として治療をしようとしているのに他の細胞を投与することになってしまいます。
そうなると、こちらの期待する治療効果を得られない可能性があります。

 

4. なぜ「凍結保存」という選択肢を取らないのか?

細胞の投与日程を自由に動かす方法として、直前まで凍らせておくという方法もあります。

実際、一部のクリニックではその様な対応をされているところも多くあります。
お茶の水セルクリニックは、元気な細胞だけで治療したいというのもあって、凍らせている細胞は使いたくないという理由から凍結 保存を行っていません。

凍結保存のデメリット① 細胞の活性低下

解凍直後の幹細胞は元気のない細胞が多く、 中には死んでしまっているものもあります。
それを体に戻すということになるので、1 億個体に戻したいと思っていても場合によ っては5,000万個しかないということもあり得ます。

凍結保存のデメリット② DMSO(凍結保護剤)のリスク

細胞を凍らせた状態にしておく際に、特別な薬に浸した状態で凍らせることが多いです。

DMSO(ジメチルスルホキシド)と呼ばれるものを使う事が多いですが、その薬は細胞にとっては良いものの体に入ると悪影響が出やすい薬となっています。
だるさや発熱等の症状が出てしまったり、 その薬が体に入ったことでアナフィラキシーショックを起こすリスクがあると言われてい ます。

骨髄移植などでも古くから凍結剤が使われていて、少ない割合とはいえアナフィラキシーショックが出てしまうため注意が必要であると言われています。
リスクを知りながら患者の体に戻すということは避けたいため、お茶の水セルクリニックでは凍結したものではなく、生きた状態の細胞を戻しています。

5. 今後の技術進歩への期待いい状態で投与するためには

今後、凍らせる技術が向上してデメリットが減少していけば、患者さんにとってのメリットが多くなるため凍結していくという考え方もできると思います。
現時点では、生きた状態の細胞(生細胞)を使って 投与していくことがベストと考えています。

いい状態で投与するためには

これまでお話してきた通りお茶の水セルクリニックでは、生細胞を使っていく上では決めた日程を目指して細胞を増やしていくため日程変更ができないという状態になっております。
ご面倒をおかけして申し訳ございませんがご協力いただけます様よろしくお願いいたします。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。


何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。

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