【変形性膝関節症について】—院長のブログ
2020年11月05日(木)
こんにちは。院長の寺尾です。
今回は、変形性膝関節症についての豆知識をお伝えしたいと思います。
変形性膝関節症のスタンダード治療
OARSIガイドラインというものがあります。
これは世界中の変形性関節症治療ガイドラインをまとめたものになります。
この中で、最も推奨度の高いLevel Aの治療法は、「体重管理」「痛み止め」「人工関節置換術」だけ
と書かれています。
細胞治療は、まだまだ新しい治療なので、このガイドラインには含まれていません。
今後、Level Aとして載るよう情報を発信していけたらと思います。
軟骨だけ治せばよいのか?
関節の症状は、軟骨だけ治しても治らないことがあります。
それは、軟骨以外の場所から痛みが生じていることが多いからです。
以前から、学会でも軟骨を移植する手術の是非について討論されることがありました。
関節の症状を治したいのであれば、軟骨だけでなく、関節に含まれている組織全体を対象として
治療をした方が良いと考えています。
KL分類
変形性膝関節症の程度を表す分類でよく使われるのはKL(Kellgren and Lawrence)分類です。
これはレントゲンを使った分類方法です。Grade2以上を病気として考えるのですが、この分類では少し奇妙な
現象が報告されています。
レントゲン上正常なGrade0の約20%の人が膝の痛みを感じ、最も変形の強いGrade4の約30%痛みを
感じていないというデータです。
このことからも、関節の痛みの原因には色々な要素が関わっていることがうかがえます。
骨切り術と細胞治療
膝バランスを整える手術に骨切り術があります。体重のかかる場所をずらすことで、ダメージを受けている
場所を使わないようにする手術です。
この手術では、細胞を投与しなくても軟骨が再生することがあります。
この手術に幹細胞治療を組み合わせる取り組みをしていこうと相談をしています。
細胞治療だけでは膝の形を大きく変えることができないため、変形の強い方に対する理想的な
治療法になる可能性があると考えています。
半月板部分切除と細胞治療
半月板は膝の中にあるクッションです。軟骨成分でできています。
この半月板はスポーツなどで傷がつくことがあり、その場合、手術で部分的に取り除くことがあります。
しかし、半月板を取り除くと、関節が変形するリスクが高まります。
そこで、半月板を取り除いた後に細胞を使って半月板の修復できないものか、
検証していこうと相談をしています。
幹細胞を使うことで半月板が大きくなることがあるため、成功する可能性が高いと考えています。
変形性膝関節症にオススメのトレーニング
変形性膝関節症にオススメのトレーニングとして昔から言われているのが、大腿四頭筋の訓練です。
大腿四頭筋はモモの前にある大きな筋肉で、膝を伸ばすトレーニングで鍛えられます。
それ以外にも股関節や足首のトレーニング、自転車訓練、水中エクササイズなど色々なトレーニングが
有効だと言われています。
トレーニングの種類ではなく、継続することの方が重要だという論文もありました。やはり継続は力なりです。
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