【PRP治療と幹細胞治療の「違うところ」「似ているところ」】―院長のブログ
2020年11月24日(火)
今回は、当院で行っている2つの治療法、PRP治療と幹細胞治療の違いについてお伝えしたいと思います。
PRP治療も幹細胞治療も法律上は同じ「再生医療」というジャンルに入る治療法です。
ですが、PRP治療では血小板を使い、幹細胞治療では体の中にある幹細胞を使うので、
全く異なる治療法のようにも見えます。
実は、PRP治療も幹細胞治療も、同じようなメカニズムを使って治療効果を発揮します。
どちらも、
・炎症を抑える
・組織を修復する
という2つの機能が主に働き、治療効果を出すと考えられています。
「炎症を抑える」能力は主にサイトカイン等の生理活性物質の効果によって発揮されます。
血小板中には多くのサイトカイン等が含まれていますし、幹細胞はサイトカイン等を合成することが
できますので、どちらも炎症を抑える効果を出すことができます。
しかし、血小板は核を持たない細胞のため、新たにサイトカイン等を作る(合成する)ことができません。
血小板の中に含まれている物質を使い切ってしまうと、それ以上、炎症を抑えることが
できなくなってしまいます。
そのため、継続的にサイトカインなどを合成できる幹細胞の方が、長期間に渡って炎症を抑制する
効果が期待できます。
「組織を修復する」能力の点では、幹細胞は血小板より優れていると言えます。
血小板は直接組織を修復することができません。
血小板は組織修復をスタートさせることはできます。
しかし、直接組織を修復することはできず、中に含まれる物質(PDGFなど)が修復を担当する細胞を集め、
その集まってきた細胞が修復を行います。
集まってくる細胞には幹細胞も含まれています。
一方、幹細胞は組織修復の中心的な役割を担っていると考えられています。
直接比較した研究はまだ少ないですが、修復担当細胞を直接注入した方が、
効果が高くなりそうなのは納得できる考え方だと思います。
このように、PRP治療と幹細胞治療は、似た作用機序(メカニズム)で治療効果を発揮しますが、
メカニズム内で担当する部分が異なることで作用に差が出ると考えられています。
組織の修復を目指すのであれば効果が高い幹細胞治療をファーストチョイスとしてお勧めしています。
しかし、PRP治療の方が安価ですので、PRP治療でも十分変化が期待できる場合には、
PRP治療を提案しています。
医療においてもコストパフォーマンスは重要だと思います。
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