【痛風の薬で新型コロナの重症化予防】―院長のブログ
2021年02月03日(水)
日経メディカルに興味深い記事が掲載されていました。
細胞治療と直接関係はありませんが紹介したいと思います。
コルヒチンという薬をご存じでしょうか?
痛風の発作を抑えるための薬で、昔から使われてきた薬です。
発作(痛み)が出そうになる直前の違和感が出たタイミングで使うと、痛みを起こさなくなります。
痛風の元である血中尿酸値を下げる薬ではありませんが、発作を抑制する効果があるので、
痛風発作に苦しんでいる方にとっては、とても有益な薬です。
そのコルヒチンが、新型コロナの重症化を抑制する可能性があるという記事が日経メディカルに
掲載されていました。
コルヒチンは軽症COVID-19の治療薬になるか?:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)
元になった論文はカナダのJean-Claude Tardif教授たちのグループが発表したものです。
日本でも琉球大学と横浜市立大学のグループがコルヒチンによる効果を検証しているとのことです。
カナダの論文では0.5mgのコルヒチンを1日2回3日間内服した後、1日1回30日まで内服した結果、
重症化するリスクを下げることができたと報告されていました。
まだ査読前の論文ですので確定したものではありませんが、コルヒチンの効果が期待できる内容だと
思います。
コルヒチンは尿酸の貯まっている関節に白血球が集まることを抑制する薬です。
白血球が尿酸を取り込むことで強い炎症反応を起こし痛みを出すので、
白血球が集まらなければ炎症反応が起こりにくくなるという作用機序です。
新型コロナが重症化する際、白血球が暴走したような状態になることが関連しているとも
言われているので、白血球の働き方をコントロールすることで重症化しにくくなるのかもしれないと
思いました。
コルヒチンはローマ時代から使われているとも言われている薬で、
1粒7円ぐらい(2021年2月現在)の安価な薬です。その薬で重症化を予防できるのであれば、
画期的なことだと思います。
ただし、コルヒチンにも副作用があります。また使いすぎると中毒を起こすこともありますので、
内服する際には十分注意をする必要があります
新型コロナは重症化を抑制することが重要な感染症だと思います。
色々な治療薬が出てくることを願うばかりです。
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