【股関節に対する幹細胞の効果について①】―院長のブログ
2021年05月08日(土)
最近、股関節についての問い合わせが増えてきたように思います。
膝に対して幹細胞治療を受けられる医療機関の数が増えてきたものの、
股関節や肩関節に対して治療を行っている医療機関はまだ少ないようです。
膝だけでなく、股関節、肩関節、足首(足関節)など様々な関節に対して治療を行えるところも
細胞治療の良い点だと思います。
股関節に対する治療効果についての論文がありましたので紹介したいと思います。
Mardones, R., Jofré, C. M., Tobar, L., & Minguell, J. J. (2017). Mesenchymal stem cell therapy in the treatment of hip osteoarthritis. Journal of hip preservation surgery, 4(2), 159-163.
この論文は2017年に発表されたもので、骨髄由来の間葉系幹細胞の治療効果について
書かれているものです。
治療法としては、培養した2000万個の骨髄由来間葉系幹細胞を関節内に注射するという方法です。
治療後16~40か月間、追跡調査を行った結果、痛み、機能、可動域が改善することが示されています。
ただ、レントゲンなどの画像所見は変化していないものの、進行しているものの少なく、
進行を抑制した可能性が高いと考察されていました。
当院で注入する細胞の数よりも少なくても効果が出ている点は興味深いです。
一般的に論文では「〇〇名中、●●名で有効だった」という分析ではなく、治療効果が統計的に
有効だったか無効だったかを評価することが多いです。
このことを「統計学的に有意」というのですが、治療法自体の有効性について統計的に
評価する方法になります。
こういう数字は皆様の知りたいデータにはなっていないかもしれませんね。
ですが、治療が有効であることを示してくれている大切な論文だと思います。
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