【半月板損傷について】Dr村上ブログ
2024年05月13日(月)
こんにちは。
今回は、月曜日担当の村上医師が『半月板損傷について』解説させていただきます。
【半月板の役割】
半月板は膝関節の中にあり、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある三日月やアルファベットのCのような形をした組織です。半月板は体重をかけたときの力を分散させ、軟骨への衝撃を緩和させるクッションの役割と膝関節を曲げ伸ばししたときの大腿骨と脛骨の動きを安定させる役割を担っています。
【半月板損傷】
損傷した半月板は上記の役割を担えなくなり、軟骨への負荷が増えることとなり変形性膝関節症につながります。
【症状】
クッション機能が落ちることにより膝関節の痛みが出ることが多いです。また、損傷した半月板の一部が動くことにより、膝関節で音が鳴ったり、引っ掛かり感を自覚する可能性があります。損傷範囲が大きいと、ロッキングという膝関節を完全に伸ばすことができなくなる症状が出現する可能性があります。
【診断】
理学所見と画像所見を組み合わせて診断します。半月板に負荷を与える膝関節の動きを行うことにより、痛みや音が出ないかを確認します。単純X線検査やCT検査では半月板は描出されないため、描出可能なMRI検査で半月板の状態を確認します。
【治療】
保存療法と手術療法があり、半月板損傷の形態、年齢、活動レベル、全身状態などいろいろな要因を考慮して選択します。
- 保存療法
リハビリなどで大腿四頭筋筋力を強化し、膝関節の安定性を高めます。痛みに対しては、痛み止めの薬やヒアルロン酸を膝関節に投与することで緩和を図ります。
- 手術療法
手術は半月板を切除するもしくは縫合する方法が行われています。半月板損傷が起こっている箇所や切れ方、年齢、活動レベルなど様々な要因を考慮して選択しますが、現在は半月板を温存する半月板縫合が積極的に行われています。
半月板切除術は傷んだ半月板を部分的に切除する手術です。傷んだ半月板がなくなることにより、切れた半月板が動いて起こっていた痛みや引っ掛かり感が改善します。しかし、残った半月板の量が少なくなるため、将来的な変形性膝関節症のリスクがあります。
半月板縫合術は、切れた半月板を縫って修復を図ります。メリットとしては半月板を温存することができることです。縫合後半月板損傷が修復されれば、半月板切除術でのデメリットである変形性膝関節症になるリスクを軽減することができます。縫合して切れた半月板が安定することにより、痛みや引っ掛かり感が改善します。デメリットとしては縫合したから必ず修復されるわけではないことです。切れた半月板を縫うことで、断裂部が近づき安定はしますが、修復は本人の回復力に頼ることになります。半月板は元々血流がない組織のため、関節の中央(膝の真ん中)に近い部分は治りにくく、関節包に近い(膝の隅)に近い部分は治りやすくなります。また、切れ方によっても治りやすさが異なるため、断裂の箇所や場所、年齢、活動レベルなど治癒確率に影響する部分を総合的に考慮し、半月板縫合を行うかを選択します。
【再生医療の可能性】
半月板損傷に対する治療として、PRPの有効性が多く報告されています。保存治療としてのPRP投与や半月板縫合を行いさらにPRPを加えるといった研究が行われ、膝関節の機能が改善したという結果が出ています。幹細胞での治療含めて、今後より多くの研究成果が報告されることが期待されます。
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