【HIITと老化】―院長のブログ
2021年07月12日(月)
老化に関しての新しい知見をまとめた本の中には、
運動と老化に関連した情報も書かれていました。
題名:LIFESPAN 老いなき世界
著者:David A. Sinclair
出版:東洋経済
本著の192ページに「理想の運動強度はどれくらいか」とう章がありました。
運動をする人ほど、テロメアが長いという報告があるそうです。
様々な運動習慣を持つ人の血液を調べたところ、頻繁に運動する人ほど
テロメアが長かったそうです。
Tucker, L. A. (2017). Physical activity and telomere length in US men and women: An NHANES investigation. Preventive medicine, 100, 145-151.
テロメアは染色体の末端部分にあるもので、染色体を保護する役割があると考えられています。
細胞が老化するとテロメアが短くなるため、テロメアの長さを維持することは、
老化に抵抗することだとも言えます。
運動の中でも高強度インターバルトレーニング(HIIT)が
ミトコンドリアの機能を改善したという報告があります。
Robinson, M. M., Dasari, S., Konopka, A. R., Johnson, M. L., Manjunatha, S., Esponda, R. R., … & Nair, K. S. (2017). Enhanced protein translation underlies improved metabolic and physical adaptations to different exercise training modes in young and old humans. Cell metabolism, 25(3), 581-592.
ミトコンドリアは老化に伴って機能が低下してしまうため、
HIITが老化に抗う方法の1つとも考えられます。
ただし、HIITは体への負担も大きいため、実施する場合には注意が必要です。
自己や不調などを引き起こさないよう、当初は低負荷トレーニングから始めて、
徐々に高負荷に変えていく必要があります。
運動が体に良いことは、多くの人が知っていることだと思います。
それでも、継続することが難しいものでもあります。
楽しく運動を行っていくための工夫も重要だと思います。
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