幹細胞治療の具体的効果には、どのようなものがあるでしょうか。
2021年09月06日(月)
こんにちは。お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
この度、Youtubeとブログで改めて、再生医療について詳しく解説していくこととしました。
当企画では、皆様のご質問にお答えすることで、再生医療の適切な情報をお届けしたいと思っております。
今回は、幹細胞治療の治療効果がどのような形で出るかについて、お話ししたいと思います。
患者様からのご質問
患者さんからよく、「幹細胞を入れると組織ができるんですか?」「組織ができることによる効果がありますか?」というご質問を頂戴することがございます。
”組織”
組織とは、関連する細胞が合体したものです。組織内では様々な種類の細胞が、それぞれの機能を果たすために協力して働きます。器官は、心臓、肺、肝臓、眼、胃などのように独自の構造をもち、それぞれが特定の機能を果たします。1つの器官は、数種類の組織、つまり数種類の細胞から成り立っています。
組織ができるケースもある
例えば、幹細胞を膝関節に入れると、半月板という膝のクッションが大きくなります。
“半月板”
半月(板)は膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。
日本整形外科学会より
場合によっては2倍くらいに大きくなることがございます。また、軟骨や骨が凹んだ部分が埋まるような形で新しい組織ができるというケースも見かけます。
組織ができなくても症状が楽になる?
意外と、組織ができずとも症状が改善するケースが多いです。
例えばMRIを撮って、
・軟骨の厚みがあまり変わっていない
・半月板もそこまで大きくなっていない
というような場合でも、症状の数値化をしたスコアを比べてみるとガラッと変わっていたり、痛みの強さが0に近づいているようなケースを見かけます。
関節の痛みの原因
実は、関節の痛みはなぜ発生するのかということが、細かいところで言うとよく分かっていない部分がございます。
炎症が起きると、その炎症が神経を刺激するため、痛みとして認識されます。しかし、軟骨には神経が通っていない為、軟骨を傷つけても痛くはありません。また、軟骨の厚みが無いこと自体が痛みに繋がらないケースもあります。
そのほかには、膝がガタガタすると、刺激が余分に加わって痛みになってしまうことがあります。
「組織ができる」ということ
組織ができるというのは、膝の痛みの要素の中の1つを改善するということになります。
例えば、本来軟骨の中には神経がありません。しかし、軟骨付近が炎症を起こすと軟骨の中に余分な神経が入り込んできて、普段痛みとして感じないものも全部センサーとして拾ってしまうことがります。そうすると、痛みがより強くなるという事が起こります。
組織ができると、この余分に入ってきた神経を軟骨の中から消してくれることで痛みが減るという場合があります。また、関節を包んでいる滑膜(かつまく)という部分の炎症が治ることで、痛みが減るということもあります。
“滑膜”
関節包を覆っている薄い膜状の組織。滑膜は滑液を作り出すが、作り出された滑液は関節包の中で 潤滑油(じゅんかつゆ)の役目を果たし、さらに軟骨(なんこつ)の栄養にもなる。一般に「膝に水がたまる」とは、炎症(えんしょう)等でこの滑液が異常に増えてしまった状態のことを指す。
また、細かい凸凹が滑らかになることで厚みは変わらなくても、滑りがよくなって痛みが減るというケースもあります。
このように、症状というのは様々な要素が複合して発生します。そのため、症状の中の組織の、さらにボリュームが関わる部分というのは、あくまでも幹細胞治療の治療効果の一部分だと考えます。
今回のまとめ
確かに幹細胞治療では、組織ができることも大事です。しかし、組織ができること自体よりも、患者さん自身が楽になったり、動けるようになったりすることで今までできなかったことができるようになることの方が大事だと思っています。
検査としてMRIを撮って、組織ができたのか確認を行うこともあります。しかし、組織ができることよりは、身体が楽になることに重点を置いて、私たちは再生医療を行っています。
※今日の内容は以下の動画でも見ることが可能です。何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味を持たれた方は、当院公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。
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