股関節の幹細胞治療とは? 他の医療機関ではなぜ行われていないのか?
2025年03月18日(火)
こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。
近年、幹細胞治療が関節の痛みや機能改善に役立つ治療法として注目されています。
特に膝関節の治療では広く行われている一方で、股関節の幹細胞治療を提供している医療機関は限られています。
実際に、お茶の水セルクリニックでも患者さんから「なぜ他の病院では股関節の幹細胞治療をやっていないのか?」といった質問をいただくことがあります。
確かに、膝の治療を行うクリニックは多いものの、股関節治療を提供しているところは少ない傾向にあります。
では、なぜ股関節の幹細胞治療が一般的ではないのでしょうか?
その理由について解説していきます。
股関節への注射が難しい
一つの理由として、股関節への注射は膝関節に比べて難易度が高いという点が挙げられます。
膝関節は比較的浅い位置にあり、関節へのアクセスが容易です。
整形外科ではヒアルロン酸注射が一般的に行われており、ほとんどの整形外科医が膝への注射に慣れています。
そのため、幹細胞治療もスムーズに導入しやすいのです。
一方、股関節は骨盤の奥深くに位置しているため、単純な注射で幹細胞を関節内に正確に届けることが難しくなります。
そのため、超音波やレントゲン透視装置を使いながら慎重に注射を行う必要があります。
これには特別な設備と技術が求められるため、股関節への治療を提供する施設が少ない要因となっています。
設備と技術が必要
股関節への正確な注射を行うためには、超音波ガイド下での注射やレントゲン透視装置を使用した注射といった高度な医療機器と、それを扱える医師の経験が必要になります。
特に、レントゲン透視装置を使いながらの治療は、医療機関によっては設備が整っていなかったり、対応できる医師が限られていたりするため、提供できる施設が少なくなっています。
また、幹細胞治療自体が比較的新しい治療法であり、特に股関節に対する臨床経験が豊富な医療機関は少ないため、対応できる施設が限られているという現実もあります。
股関節の構造的な特徴と治療効果の違い
股関節は膝関節と比べて、治療効果が個人差によって大きく異なることがあります。
膝関節は荷重関節でありながら安定した構造を持っているため、損傷を受けても治療による改善が比較的期待しやすいです。
股関節はボール&ソケット(球関節)構造を持ち、可動域が広く、不安定性が出やすいです。
股関節の損傷が進行すると、関節の安定性が低下し、幹細胞治療による修復がうまくいかないケースもあります。
特に、生まれつき股関節が浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」の方は、幹細胞を注入しても関節の構造的な問題が解決しないため、改善が難しいことがあります。
そのため、股関節の治療を行う場合、単に幹細胞を注入するだけでなく、関節の安定性や動きの改善も含めた包括的な治療計画が求められます。
まとめ:股関節の幹細胞治療を検討するなら
股関節の幹細胞治療を提供している医療機関が少ない理由として、注射の難易度が高い、設備や技術が必要、股関節の構造的な特徴により治療効果が個人差によるといった点が挙げられます。
しかし、適切な診断と治療計画を立てれば、股関節の幹細胞治療で大きな改善が期待できるケースも多いです。
特に痛みや関節機能の低下に悩んでいる方にとって、有力な治療選択肢の一つとなります。
お茶の水セルクリニックでは、患者さんの股関節の状態を詳しく診断し、幹細胞治療が適しているかどうかを判断した上で、最適な治療方法をご提案しています。
股関節の痛みや違和感が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください!
※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。
何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。
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