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3月9日開催セミナー・寺尾院長「膝や肩などの痛みに対する幹細胞治療の効果」

2025年04月08日(火)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。
今回は、3月9日に開催されました再生医療に関するセミナーのまとめについてお伝えしていきます。

1. セミナーの目的

今回のセミナーは、関節に対する幹細胞治療の理解を深めることを目的として開催されました。
幹細胞治療の基本的な仕組みや治療の流れ、実際にどのように治療が進んでいくのかを具体的に知っていただけたと思います。
特に、幹細胞治療が従来の治療法と異なる点に焦点を当て、患者さんが抱えがちな不安や疑問を解消することを意識した内容です。
また、患者さんが治療法を選択する際の参考となるように、幹細胞治療のメリットやデメリットも詳しく解説しました。

2. 整形外科ってどんな科?

関節の痛みを専門とする科として思い浮かべるのは、整形外科です。
整形外科は、体を動かすために重要な役割を持つ関節・筋肉・骨の問題を診る専門科です。
スポーツや事故によるケガから、老化に伴う症状まで広範囲にわたります。
特に、膝や肩の痛み、腰痛など、生活の質を大きく低下させる症状に対して積極的な治療が求められます。
整形外科は、手術や薬物療法だけでなく、リハビリテーションを通じて、患者さんがより早く回復できるようにサポートする役割も担っています。
治療法が多岐に渡るため、患者さんにとって適切な方法を選ぶことが大切です。

3. なぜ関節って治りにくいの?

関節は、軟骨がすり減ることで痛みや動きの制限を引き起こしますが、他の体の部分に比べて自己修復能力が低いため、治りにくいのが特徴です。

関節内には血流が少なく、幹細胞がほとんど存在しないため、組織の回復が遅くなります。
このため、関節に関わる病気やケガは慢性化しやすく、長期間にわたって治療が必要になることがあります。
特に、変形性関節症のような疾患では、病気が進行することでさらに治療が難しくなるため、早期の対処が重要です。
治療が長引くことによって、生活の質が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。

4. 再生医療に必要な3つの要素

関節の修復には、3つの重要な要素が必要です。
1つ目は「細胞」で、これが組織の修復を行う材料となります。
2つ目は「足場」で、細胞がしっかりと着床し、成長できる環境を提供します。
そして3つ目は「液性因子」で、細胞の成長や活動を促進する物質です。

従来の治療法では、これら3つの要素を十分に補うことが難しいため、治療効果が限定的でした。
しかし、幹細胞治療ではこれらをまとめて提供できるため、再生医療として非常に効果的です。
幹細胞は自分の体の一部であるため、拒絶反応のリスクも少なく、より自然な治癒を促進することが期待されています。

5. 幹細胞治療って何?

幹細胞治療は、患者さん自身の脂肪から採取した幹細胞を使って、傷んだ関節や軟部組織を修復する治療法です。
脂肪由来の幹細胞は、簡単に採取でき、再生能力が高いのが特徴です。
この幹細胞は、炎症を抑える作用や、組織の修復を促す働きがあり、注射で直接関節に投与されます。

これにより、痛みの軽減だけでなく、損傷した組織の再生を助けることが可能になります。
幹細胞治療の大きな利点は、患者さん自身の細胞を使うため、拒絶反応がなく、安全性が高いことです。
加えて、手術に比べて体への負担が少ないため、回復が早く、日常生活への復帰もスムーズです。

6. どんな人に向いてるの?

幹細胞治療は、特に次のような症状に悩む方に向いています。
変形性膝関節症や肩の腱板断裂、スポーツで負傷した関節など、痛みを伴う関節疾患がある方です。
これらの症状は、従来の治療法では完治が難しい場合が多く、手術を避けたいという方にとっては最適な選択肢となります。
また、関節を長期間にわたって痛めている方や、従来の治療で改善が見られなかった方にも効果が期待できます。
幹細胞治療は、修復力を高めることができるため、手術を避けたい方にとって、非常に有効な治療法です。
治療の選択肢として、是非考えてみる価値があります。

7. 治療の流れ

幹細胞治療の流れは、まず初めに診察を行い、幹細胞治療が適応するかどうかを判断します。
その後、脂肪を採取するための手術を行いますが、これは最小限の負担で済みます。
脂肪を採取後、その細胞を培養し、十分な数と質を確認した上で関節内に注射します。
治療後は、リハビリが非常に重要です。リハビリを通じて、関節の可動域を回復させ、筋力を強化します。
リハビリの進行具合に応じて、治療の効果が現れるのは徐々にですが、通常3ヶ月から半年以内に痛みの改善が見られ、完全な回復が期待できます。
リハビリには、医師やスタッフと連携して進めることが大切です。

8.幹細胞治療についてよくある質問

Q1: 細胞の数が少ない方が良いのか、多い方が良いのか?
一般的には、細胞数が少ないよりも多い方が効果が期待できると考えています。
特に、関節治療においては、多い数が有効ですが、数が多ければ多いほど効果が上がるわけではありません。
1億細胞を超えると、効果が頭打ちになることもあり、そのためコストとのバランスを考慮し、1億程度の細胞数が最適とされています。

Q2: 投与の回数は何回が良いか?

複数回投与をした方が良いのでは?と質問されることがあります。
実際、複数回の投与が有効かもしれませんが、現時点では、投与の回数とその効果についてはまだ明確に証明されていません。
ただし、悪影響はないため、複数回の投与を行うことに問題はなく、場合によっては良い結果をもたらすことがあります。

Q3: 凍結した細胞を使った方が良いか?

細胞は、投与する直前に元気な状態が理想的です。
しかし、培養中に細胞を一度凍結させることが有効な場合もあります。
凍結によって、弱い細胞を除去し、質の良い細胞だけが残る可能性があるからです。
このタイミングをうまく活用することが、治療の効果を高めることにもつながります。

Q4: どの種類の細胞が最も良いか?

細胞の種類についてもよく質問されます。
脂肪由来、骨髄由来、滑膜由来など様々な細胞がありますが、最も重要なのは細胞の種類よりもそのコンディションです。細胞の培養方法や育成過程でダメージが少ないものほど、効果的に働きます。

Q5: リハビリは必要か?

私は再生医療において、リハビリを4つ目の重要な要素と考えています。
物理的な刺激、例えば摩擦を与えることで軟骨の厚みが増し、細胞の仕事量が変化します。
このため、リハビリは再生医療の効果を最大化するために非常に重要です。

Q6: どんなリハビリが有効か?

リハビリとして、家庭でできる簡単な体操をお勧めしています。
例えば、足を浮かせた状態でぶらぶら運動を行うことが、軟骨の生成に効果があるという報告もあります。こ
うした簡単な体操を続けることが、治療効果を高めるのに役立ちます。

Q7: どこで治療を受けるべきか?

治療を受ける場所について、私はしっかりとした説明をしてくれるクリニックを選ぶことをお勧めします。
不要な治療を強引に進めないクリニックで、納得した上で治療を受けることが大切です。
患者さん自身が安心して治療を受けられるクリニックを選ぶことが重要です。

Q8: 再生医療の未来はどうか?

再生医療はまだ発展途上にありますが、足場材や手術との組み合わせにより、より高い効果が期待できると考えています。また、細胞治療を早期に適用することで、より効果的な結果が得られる可能性があります。今後、さらに進化することが予想されます。

Q9: 幹細胞治療を受ける際の心構えは?

治療を始める前に、慌てて治療を始めないことが重要です。
治療法はまだ完全に確立されていない部分もあるため、しっかりと説明を聞き、納得した上で治療に臨んでください。
また、治療のゴールを明確にし、どのような結果を望むかを考えることが大切です。

Q10: 治療を担当する人とのコミュニケーションは重要か?

治療を担当する医師とのコミュニケーションは非常に重要です。
疑問や不安があれば、すべて聞き、理解を深めることが大切です。
医師との信頼関係を築き、一緒に治療を進めていけることが、治療成功の鍵となります。

8. まとめ

幹細胞治療は、従来の治療法とは異なり、関節の修復を自然な方法で促進する新しい治療法です。
患者さん自身の幹細胞を利用するため、拒絶反応のリスクも少なく、比較的安全性が高い治療法といえます。
また、手術を避けたい方や、従来の治療で効果が得られなかった方にとって、希望を持てる選択肢となるでしょう。
治療後は、適切なリハビリを行うことで、最大限の回復が期待できます。
関節に痛みを抱えている方にとって、幹細胞治療は将来の治療法として重要な位置を占めることが予想されます。
興味がある方は、お茶の水セルクリニックまでお気軽にご相談ください。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。

何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。

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