細胞治療に向き合うお茶の水セルクリニック~寺尾友宏院長の紹介~
2024年04月09日(火)
齋藤医師
水曜日を担当しております齋藤 琢です。
本日はお茶の水セルクリニック院長の寺尾先生にいろいろとお聞きしていきたいと思います。
それでは寺尾先生よろしくお願いします。
寺尾先生は、YouTubeでこれまでも発信されてきているので、自己紹介というのも今さらな感じがしますけれども医者になられて何年目でいらっしゃいますか?
寺尾院長
私、平成9年卒なのでもうすぐ30年ですね。
気が付いたら…という感じですね(笑)。
齋藤医師
私の一学年上ですね。
寺尾院長
そう言われるとだいぶ年をとったなという感じがします(笑)。
寺尾院長が整形外科医を志したきっかけ
齋藤医師
寺尾先生が医師になられた頃は、まだ初期研修がなかった時代なので、卒業と同時に整形外科医になられたと思いますが、整形外科になることを選ばれた理由はなんですか?
寺尾院長
私は、卒業したときにいくつか行きたいなと思っていた科があり、
循環器内科や脳外科の先生と仲が良くて2つの科にも興味がありました。
また、整形の先生ともすごく仲が良くて、医学部の必須カリキュラムで、4年生から6年生の間に行われる臨床実習の通称ポリクリで、整形外科の先生に教わりながら科を回っていく時に色々なことを教えてもらいました。
検査方法や手術になるべく参加できるように、時間の調整をしていただき、整形外科の治療法を見て、入院する時は歩けもしない方が退院時にはスタスタ歩いて帰ったりと本当にがらっと変わる様子を多く見ました。
こんなに変えられるのであれば、私も整形外科医になってみたいと思って最終的に整形外科を選びました。
齋藤医師
「手術で自分の手で良くできる」と整形外科医になられた先生がよくおっしゃられることですよね。
それで臨床を数年された後、再生医療の業界に移られたわけですが、臨床をされていたころはどの領域を専門にされていましたか?
寺尾院長
一番最初“脊椎”で、その後“関節”とたくさんの専門を回っていました。
警察病院というところにいたのですが、その頃は“膝班”みたいな形で膝を専門にしていました。
特に前十字靱帯の再建術チームにいたので、多くの件数の手術をやるという日々を過ごしていました。
警察病院は、体を動かす方や走ったりしなくてはいけない方が多いので、スポーツ寄りの整形外科という感じでした。
安静にできない方を、いかに早く現場に復帰させるかを考えていました。
寺尾院長が再生医療を始めたきっかけ
齋藤医師
寺尾先生は、まだ今ほど“再生医療”という言葉が一般的でなかったときに再生医療に飛び込まれてるわけですけど、再生医療に駆り立てたものは何だったんでしょうか?
寺尾院長
再生医療を初めて知った頃は、まだES細胞などが研究で全盛の頃でした。
普通の臨床医としての仕事をしていた中で、医学英語論文を読んでその内容を分かりやすく発表する会である抄読会(しょうどくかい)でたまたま再生医療系の論文を読んでいました。
当時は人工関節が手術の主流でしたが、作った膝を移植できたら良いなと思い始めていました。
そう思ったらやっぱり自分の目で見たいとなりましたので、当時はES細胞と言えば京都大学といわれていたので京都へ行きました。
京都でES細胞のことをやっているときには、まだまだ細胞で治療すること自体がハードルが高かったです。
やはり細胞で治療するというのは難しいのかなと思いながら研究を続けていました。
その後は臨床医として現場で治療をしていましたが、バックグラウンドで細胞治療の研究をしていたので「細胞治療のプロトコル(原案)を作りたい」とお声がけをいただく機会が何回かありました。
それで実際に携わっていく中で「やはり細胞治療は面白い」と思い、実際に臨床で細胞を使って今まで出せなかった変化が出せるようになると、どんどん興味が出てきました。
寺尾院長が思う細胞治療の魅力
齋藤医師
再生医療の安全性確保法という法律ができて、細胞治療が受けられるクリニックが数多く日本中に増えてきましたが、寺尾先生は細胞治療をされている先生の中で投与した数でいくと一番多いのではと思います。
寺尾先生が考えておられる細胞治療の魅力というのはどの様なところですか?
寺尾院長
関節治療は痛み止めやヒアルロン酸注射などを行い、それでダメだっだら手術というのが一般的です。
しかし、保存治療と手術治療の間に大きなギャップがあるイメージでした。
そこの中間層に細胞を使えるようになったということで、新しい武器を手に入れたという感じでした。
軟骨や半月板は絶対に厚くならないと思っていましたが、細胞治療では可能になる場合もあります。
その様なことを見ると、細胞治療はまだまだ知らないことが多いなと思います。
再生医療は特別な治療ではなく、ヒアルロン酸やリハビリテーションなどと同じように、一定の適応の方に使われる普通の治療として細胞治療があってくれたらいいと思います。
齋藤医師
「標準的な治療に」ということですが、お茶の水セルクリニックの臨床データの解析から一番効果が出やすい方というと、やはり変形性関節症の初期から中期ぐらいの方ですね。
細胞治療は保存療法では改善しないけど手術にはまだ早い、もしくは手術を受けたくないという患者さんの選択肢の一つとなると思いますが、寺尾先生はどのようにお考えでしょうか?
寺尾院長
齋藤先生のおっしゃるとおりだと思います。
保存療法と手術の中間点を担うのが細胞治療です。
関節の変形が強い症状を元通りにするというのは無理なのですが、「痛みを減らして少し動けるようにしたいです」みたいなニーズであれば、ある程度そこを目標にすることもできるかなと思っています。
患者さんには、この様な事が期待できるというのをしっかりお伝えして、細胞治療を受ける方との齟齬が少ないような形で進めていきたいです。
齋藤医師
最近は、MRIの画像なども詳しく見ることで、かなり治療効果の予測ができるようになってきています。
なのでお一人お一人に対応しながらどこまで良くなるのか?というところをお伝えして、ご納得いただける方に受けていただくという治療が健全な形だと思います。
寺尾院長
それが最終的に“普通に使われる治療”という形になると思います。
齋藤医師
大変よくわかりました。
寺尾先生、本日はありがとうございました。
動画はこちらをご覧ください。
何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽お問い合わせください。
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