治療内容

脊髄損傷・難治性脊髄症治療

脊髄損傷及び難治性脊髄症に対して、自己脂肪由来幹細胞を静脈内点滴します。
本治療では、体の中にある間葉系幹細胞という細胞を培養して治療を行います。間葉系幹細胞とは骨髄の中に含まれ、また皮下脂肪内にも多く存在する細胞です。この間葉系幹細胞は、分裂して自分と同じ細胞を作る能力と別の種類に分化する能力を持った細胞で、投与された幹細胞は傷ついたところに集まり、血管の新生や欠損した部分の修復を促す性質があります。

脊髄損傷とは

人間の背骨には、脳から腰部まで続く太い神経の束である脊髄が中を通っています。高所からの転落や交通事故など大きな外力が背骨に加わると、脊髄もダメージを受けます。損傷を受けた部位により、頸髄損傷や胸髄損傷などと呼ばれることもあります。脊髄は脳と同じように沢山の神経細胞が存在するため、一度ダメージを受けた脊髄は完全な回復が困難となり、手足の麻痺や強い痛みやしびれなどの感覚異常が後遺症として残ることになります。障害の程度や回復の見込みは患者様によって大きく異なりますが、神経の通り道が遮断されている完全損傷と一部の機能が残存している不完全損傷では、完全損傷の方が予後は悪く、排尿や排便のコントロールが全くできなくなります。
また、損傷を受けて6ヶ月以上経過している慢性期の脊髄損傷については、
損傷から時間が経ってしまうと一般的には神経の再生がより難しくなると言われています。

脊髄症とは

脊髄症は一回の外傷で発症する脊髄損傷とは異なり、慢性的な脊髄の圧迫により徐々に進行する疾患です。脊髄は背骨のトンネルの中を通っていますが、何らかの原因、例えば軟骨である椎間板や骨または肥厚した靭帯の一部が脊髄を圧迫し続けると、脊髄損傷と同様、手足をうまく動かしにくくなり知覚にも異常をきたし、最終的には排尿の機能も低下します。脊髄損傷の患者様の中には、自覚症状があまりなかった場合であっても、潜在的な脊髄症の方も多く含まれており、転倒などで頭部を打撲しただけで麻痺が生じることもあります。慢性の脊髄症の診断には、頸椎のC TやM R Iなどの画像診断が有効です。

脊髄損傷の症状

  • 手足の痺れや知覚過敏などの感覚障害
  • 手足の麻痺、痙性(微細刺激で過剰に手足が動いたり突っ張ったりすること)
  • 排尿・排便障害、性機能の低下や消失
  • 呼吸困難(呼吸筋麻痺の場合)
  • 血圧の異常変動、自律神経の不調 など

他の治療法について

手術療法
脊髄を圧迫している要素を取り除き、背骨の不安定性があれば、専用の金属で背骨の一部を固定します。頸髄症であれば、軽症であっても脊髄損傷の予防を目的に手術を行うこともあります。
リハビリテーション
受傷または術後の早期から関節の拘縮を抑制し、残された機能を最大限活用し、また機能回復途上にある筋肉や神経の働きを高めることにより、手足の機能だけでなく、日常生活動作全般のさらなる向上を目指します。麻痺している神経の疎通を促す電気刺激治療も併用する事があります。

幹細胞治療の流れ

はじめに問診、医師が治療の特徴などをご説明します。
また感染症などの血液検査を行います。

脂肪組織を採取

局所麻酔後、へそのシワに合わせて約5mm切開し、少量の脂肪組織を採取します。細胞の培養に必要な採血も行います。所要時間は20分程度です。

細胞培養

細胞培養加工室(CPC)に移送し、3~4週間かけて治療に必要な数まで幹細胞を増やします。

静脈点滴投与

治療に必要な数に増やした幹細胞を静脈内へ点滴投与します。

一度の脂肪採取で複数回の治療に使用できる数まで細胞を増やしておくことで、追加の脂肪採取をすることなく治療を繰り返すことが可能です。

その場合は、増やした細胞を液体窒素で凍らせて1年間保存します。

神経の再生に必要な治療後のリハビリテーション

治療後のリハビリテーションを行うことで組織修復力はさらに向上します。再生能力の高い幹細胞は、傷んでいる部位の修復に働きかけることがわかっています。しかしながら、幹細胞投与後、ただ安静にしていても機能回復するわけではないようです。何故なら、新しく生着し活躍しようとする幹細胞には正しく神経細胞としての機能を教え込んでこそ、神経の再生が実現するからです。神経の再生に重点を置いたリハビリテーションを幹細胞投与と並行して行う事で、再生医療のより高い効果が期待できます。