【元男性プロサッカー選手はひざや股関節は大丈夫なのか?! 股関節およびひざ関節の変形性関節症の発症率について】―Dr松﨑のブログ
2021年09月13日(月)
日本国内における新型コロナワクチンの接種比率もどんどん上昇し、感染者の数が減ってきており、早くサッカーを生で気兼ねなく見に行きたいところですが、まだ油断できない状況が続いています。
さて、今回はプロサッカー選手達のように足を酷使するスポーツ選手は、将来の変形性関節症、つまりは軟骨がすり減っていき痛みが出る病気のリスクとして大丈夫なのか?といった事に参考となる内容の論文を紹介したいと思います。
論文はサッカーが盛んなイタリアからの論文です。
Osteoarthritis of the hip and knee in former male professional soccer players
Br Med Bull. 2018 Mar 1;125(1):121-130.
世界で約20万人のプロサッカー選手がプレーされているのですが、その怪我の多くは最も多いのは肉離れなどの筋肉の怪我で、次いで打撲、股関節、ひざ、足首の捻挫などが挙げられます。プロサッカー選手のトレーニング時間あたりの怪我の発生率は、他のスポーツに比べて著しく高いとされており、さらに、いくつかの研究では、股関節やひざ関節のように体重をかけて回旋運動をする関節は、早い段階から変形性ひざ関節症になるリスクが高いことが示されていますが、今回の研究は1980年~2017年の37年間に発表されたこれらの論文をまとめてレビューしたものとなります。
全体の総数で3997名の男性がいて、そのうち1406人(35.2%)が現役を引退したプロサッカー選手(平均年齢55歳)で、2591人(64.8%)が一般の方(平均年齢56歳)でした。
結果はこちらになります。
元プロサッカー選手のひざや股関節は一般の方よりもひざは2.5倍、股関節は2.4倍もの数でレントゲン画像上、軟骨がすり減ってしまう変形性関節症を有していたことがわかりました。一方で質問票などや診察において、ひざは1.16倍、股関節は1.5倍の数で多いことがわかり、股関節は痛みを訴えている人が多いですが、ひざ関節にかんしてはレントゲン画像上や超音波画像上では関節症があるのにもかかわらず症状を訴えている人は少ない印象でした。それでも一般の方よりは多いですが。
プロサッカー選手では前十字靭帯損傷というひざの重要な靭帯の損傷が一般の方よりも多く、この損傷は変形性ひざ関節症を引き起こすといわれており、また股関節に関しては回旋運動により股関節インピンジメント症候群という変形性股関節症と関連する病気も多いとされていますのでどうしても変形性関節症を発症してしまうリスクは高いことがわかります。
ここからは私の見解ではありますが、
まずレントゲン画像上ではひどいけど、症状があまりないというのは、やはりプロサッカー選手は筋力がものすごくあるので、症状が少ないのかなと思いました。太ももの筋力を強化するリハビリは変形性関節症に大切である背景にもつながるのではと思いました。
ただし、今後についてですが、この研究の元プロサッカー選手の平均年齢は55歳という事で、今後20年とか経過したときにはさすがに筋力も低下してきており、その時にはひざの痛みはかなり強くなってしまうのではないかと危惧してしまいます。レントゲン画像上ではすでに50歳代でわるくなっているわけなので、将来は変形性関節症によって痛みが出てしまうリスクはあるのかなと思います。
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