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院長のコラム―『変形性膝関節症とは』

2020年09月02日(水)

今回は、変形性膝関節症についてお話しします。

 

1.変形性膝関節症のスタンダード(一般的な)治療

2.軟骨だけ治せばいいのか

3.KL分類とは?

4.骨切り術と細胞治療

5.半月板部分切除と細胞治療

 

 

 

1.変形性膝関節症のスタンダード(一般的な)治療

 

OARSIガイドラインというものがあります。

これは世界中の変形性関節症治療ガイドラインをまとめたものです。

この中で、最も推奨度の高いLevel Aの治療法は、「体重管理」「痛み止め」「人工関節置換術」だけと書かれています。

細胞治療は、まだまだ新しい治療なので、このガイドラインには含まれていません。

今後、細胞治療がLevel Aとして載るよう情報を発信していきたいですね。

 

 

2.軟骨だけ治せばよいのか?

 

関節の症状は、軟骨だけ治しても治らないことがあります。

それは、軟骨以外の場所から痛みが生じていることが多いからです。

以前から、学会でも軟骨を移植する手術の是非について討論されることがありました。

関節の症状を治したいのであれば、軟骨だけでなく、関節に含まれている組織全体を対象として治療をした方が良いと考えています。

 

 

3.KL分類とは?

 

変形性膝関節症の程度を表す分類でよく使われるのはKL(Kellgren and Lawrence)分類です。

これはレントゲンを使った分類方法です。

Grade2以上を病気として考えるのですが、この分類では少し奇妙な現象が報告されています。

レントゲン上正常なGrade0の約20%の人が膝の痛みを感じ、最も変形の強いGrade4の約30%痛みを感じていないというデータです。

このことからも、関節の痛みの原因には色々な要素が関わっていることがうかがえます。

 

 

4.骨切り術と細胞治療

 

膝バランスを整える手術に骨切り術があります。

体重のかかる場所をずらすことで、ダメージを受けている場所を使わないようにする手術です。この手術では、細胞を投与しなくても軟骨が再生することがあります。

この手術に幹細胞治療を組み合わせる取り組みをしていきたいと思っています。

細胞治療だけでは膝の形を大きく変えることができないため、手術と細胞治療を組み合わせることで変形の強い方に対する理想的な治療法になる可能性があると考えています。

 

 

5.半月板部分切除と細胞治療

 

半月板は膝の中にあるクッションです。軟骨成分でできています。

この半月板はスポーツなどで傷がつくことがあり、その場合、手術で部分的に取り除くことがあります。

しかし、半月板を取り除くと、関節が変形するリスクが高まります。

そこで、半月板を取り除いた後に細胞を使って半月板の修復できないものか、検証していこうと相談をしています。

幹細胞を使うことで半月板が大きくなることがあるため、成功する可能性が高いと考えています。

 

 

 

次回のコラムでは、幹細胞について詳しく書きたいと思います。

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