【ファイザーの世界初のコロナワクチン】―Dr松﨑の海外論文解説
2020年12月14日(月)
コロナの新規感染者人数がまだまだ日々更新しており、油断できるような状況ではありませんが、
ファイザーのワクチン接種がもうまもなく米国で始まるようです。
12/10にニューイングランドジャーナルという最も権威のあるところに発表されたこのファイザーの
研究論文は、世界の医学の革新的な進歩を明確に示したものであると思います。
mRNAでワクチンがデザイン設計できるという点がすごいのです。
まず今回発表された論文はこちら
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine(BNT162b2 mRNA Covid-19ワクチンの安全性と効果), N Engl J Med. 2020 Dec 10. doi: 10.1056/NEJMoa2034577.
・投与された人:43,448名(ワクチン:21,720名、非ワクチン:21,728名)
・投与を受けた場所:米国、ドイツ、トルコ、南アフリカ、ブラジルおよびアルゼンチンの約150の治験施設
・年齢:16歳以上
・接種方法:肩への筋肉注射
・接種回数:2回(2回目は1回目の3週間後に投与)
結果は下記の図のように2回目接種7日後以降のコロナ感染者は170名で、そのうち8名はワクチン群、
162名は非ワクチン群で、95%の予防効果を認めました。
さらに重症化した患者はワクチン群で1名、非ワクチン群で9名であり、こちらも効果を認めました。
では気になる副作用ですが、55歳以上の人とそれ以下の人で分けられていますが、
当然余計なものが入ったワクチン群は注射後痛いですが、疲労感や頭痛に関してはわずかな差で
どちらかというと年齢が高い方の方が副作用は少ない傾向にあったようですね。
重篤な副作用に関しては差がないということでした。
今後の課題点としては下記が考察されていました。
・長期の安全性(この研究は少なくとも2回目の接種2ヶ月後までは安全性は示されている)
・どのくらい予防効果が持つのか
・無症候性(症状のない)患者への有効性
・12~15歳の青少年における安全性(こちらは今後報告されるとのこと)
・妊婦、12歳未満の小児、免疫不全患者などの安全性(こちらも研究が計画される可能性があるとのこと)
このワクチンが効く仕組みですが、下記の図に集約されています。
まずこのmRNAワクチンを含んだ薬剤が細胞内へ取り込まれ、細胞の中でこのmRNAを基にタンパク質が
作られます。このスパイク型のタンパク質はウイルスのタンパク質と同じ構造を持ち、
細胞表面に顔を出します。これにより免疫機能が活性化され、抗体がつくられるようになります。
この作られた抗体がウイルスが侵入してきた時に闘うようになりウイルス感染を防ぎます。
これが何がすごいかって、今やウイルスの遺伝子情報はすぐに判明できるので
これを基にデザインができちゃうわけです。
これにより従来10年以上はかかるワクチン開発がたったこの1年未満で完成したのですから、
これは革新的と言わざるを得ないですね。
今やDNAを直接編集できる技術がある中、比較的古い技術ではありますが、このような実用化を
成功させた事は大きな進歩であると思います。
当院でもエビデンスを構築していき、幹細胞治療がより多くの患者さんの痛みの解決方法になるよう
今後も努力していきます。無料相談も実施中です。
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