院長のコラム―『痛みについて』
2020年10月16日(金)
こんにちは!院長の寺尾です。
今回は、「痛み」についてお話したいと思います。
痛みという感覚
色々な感覚の中で「痛み」は少し特殊な感覚と考えられています。
単に感覚だけではなく、情動体験、つまり、不安や怖いという感情も含めたものが「痛み」として
考えられているため、感覚だけを取り除いても痛みが減らないこともあります。
そのため、慢性疼痛を治療するためには、リエゾン療法や認知行動療法といった
特別なアプローチを行うこともあります。
脳にこびりつく痛み
痛みを長期間に渡って感じ続けると、脳内にこびりついてしまうという話があります。
慢性的に痛みを感じていると、脳の前側にある前頭前野という場所で特殊な回路ができてしまい、
体から痛みの刺激がでていなくても、脳が痛みを感じる様になってしまうそうです。
そのため、痛みは早めに抑えてあげたほうが良いと考えられるようになりました。
痛み止めは、単に痛みを抑えるだけでなく、余分な痛みを作らないように働いてもいるのです。
痛みを抑えるメカニズム
人の体内には痛みを抑えるためにメカニズムがあります。
「下行性疼痛抑制系」と呼ばれるもので、脳からの指令で痛みを抑えます。
過剰な痛みは、体にとっても良くないため、痛みを抑えるメカニズムがあると考えられています。
下行性疼痛抑制系がうまく働かないと、軽い刺激でも強い痛みを感じてしまいます。
下行性疼痛抑制系を活躍させる薬にノイロトロピンという薬があります。
カプサイシンの効果
唐辛子の成分であるカプサイシンは温湿布に含まれています。
カプサイシンには血行をよくする働きがあるのですが、それだけでなく、痛みを抑える効果もあると
言われています。
その効果は麻薬に匹敵するとも言われています。
この効果のお陰で、冷湿布より温湿布の方が痛みを抑える効果が強い可能性もありますが、
皮膚が負けてしまうこともあるため、どちらの湿布を使うか悩むことがあります。
関節痛の原因
変形性関節症で関節が痛む原因は軟骨だけではありません。
むしろ軟骨には元々神経もないため、軟骨がいたんだだけでは、関節痛は出ないことが多いです。
関節の周囲にある滑膜や半月板、骨の中での炎症やダメージが痛みの原因になることが多いです。
変形が進むと、軟骨の中に神経が生えてきてしまい、軟骨自体で痛みを感じるようになることもあります。
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