関節に溜まる水の正体をお伝えします。
2021年10月20日(水)
こんにちは。お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
この度、Youtubeとブログで改めて、再生医療について詳しく解説していくこととしました。
当企画では、皆様のご質問にお答えすることで、再生医療の適切な情報をお届けしたいと思っております。
今回は「関節に溜まる水」について、お伝えしたいと思います。
患者様より、「関節が変形していて水が溜まったのでその水を抜くんです」「抜いたことがあります」という話をよくお伺いします。
「関節の水」とは何か
関節の水は、関節液という液体です。
関節には元々血管がないため、栄養を供給するルートが非常に限られています。その関節に栄養を供給するルートの一つが、この関節液という液体になります。
“関節液”
関節包(かんせつほう)の内部にある透明で粘り気のある液体。関節がスムーズに動くよう、潤滑液の働きをする。滑膜(かつまく)によってつくられ、滑液(かつえき)とも呼ばれる。ヒアルロン酸やたんぱく質等を含んでいる。
関節ライフより
正常な関節の中にもある程度の関節液があり、そのおかげで関節は滑らかに動いています。しかし、関節の中が痛んでくると関節液の量が増えてしまいます。
通常、関節液は作った分を吸収するような形で代謝が行われており、関節液の量は一定に保たれています。そこに炎症などが起こると関節液を作る量が増え、吸収する量より多くなると、関節の中に水が溜まるという現象が起こります。
- 関節の水の正体は関節液
- 正常な状態の関節にも関節液はある程度含まれる
- 炎症などが起こると関節液の量が増え溜まってしまう=関節に水が溜まる
関節の修理のメカニズム
では、関節液は何のために作られているのでしょうか。関節液は、関節を滑らかに動かす役割の他に、関節を修理するためのメカニズムの一端を担っています。
関節の中には血管がないので、関節の中に傷がついたりダメージを受けたりすると、血管の周りにある細胞や血管から供給される材料が届きません。
そこで、別のルートで関節の中に修復に必要な細胞や材料を送り届けることが必要になります。その別のルートが、関節液ということになります。
関節液が関節の中に細胞を運び、その細胞が修理を担当するという流れになります。
そのため、関節液が溜まったからとすぐに水を抜いてしまうと、修理を担当する細胞も抜いてしまうことになります。そのため、関節液はできれば抜きたくないというのが本音です。
ただ、関節の水が溜まった状態を放置すると関節は膨れた状態になります。膨れた状態が長くなると、関節を包んでいる関節包という部分が緩んでしまいます。関節包は、例えば膝関節であれば、膝の安定度の40%ぐらいを担当しています。
“関節包”
関節を囲んでいる袋状の被膜(ひまく)で、外側は線維性膜(せんいせいまく)で、内側は滑膜(かつまく)でできている。
関節ライフより
関節包が緩んでしまうと関節がグラグラしてしまいます。そうすると変形が加速してしまうため、関節が緩すぎる状態はなるべく作りたくありません。そこで、あまりにも関節包が緩くなり、それを放置することが変形を加速させると判断した場合は、関節液をやむなく抜くこともあります。
- 関節液は関節の修理を担当しているので抜きたくない
- 関節液が増えたままだと関節包が緩む
- 関節包が緩んだ状態は良くないので止むを得ず関節液を抜くことがある
今回のまとめ
関節の水は関節液と呼ばれ、関節に修理のための細胞や材料を送る役割を持っています。しかし、溜まりすぎることによって関節に悪影響を与える場合があります。
そのため、関節の水が溜まった時は、溜まった量や期間などを踏まえて、水を抜く・抜かないということを判断する必要があると思います。
今日の内容は以下の動画でも見ることが可能です。何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味がある方は、当院公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。
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