幹細胞投与とその他の関節注射のタイミングについて
2022年11月05日(土)
こんにちは、お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
最近、質問で多いのが「細胞治療をしている最中にヒアルロン酸などの注射を同時に受けてもいいでしょうか?」といった内容です。
そこで今回は、関節の注射で特に多いヒアルロン酸注射とステロイド注射について解説させていただきます。
ヒアルロン注射と細胞治療
関節痛の原因の一つに、変形性関節症があります。
関節内のクッションの役割をしている関節軟骨がなくなると、関節が変形して骨と骨がぶつかってしまい痛みが出てしまいます。
そこで人体に元々あるヒアルロン酸を関節内に注入する事で、骨と骨の衝突を緩和してくれる役目をしてくれます。
また、関節の潤滑油にもなるので関節の曲げ伸ばしがスムーズになるという効果も期待できます。
細胞治療を受けてもらっている前後に、ヒアルロン酸の注射を受けてもらう事は問題ございません。
ただ、同時に受けるとより効果が出るという事は、現在のところわかってはいません。
ステロイド注射と細胞治療
痛みを取るために、ステロイド注射を関節内に注射する事もあります。
ステロイドの注射は強力に効くため、急激な痛みや炎症を抑えてくれる効果があります。
痛みや炎症を一時的に抑えたい時には、有効な薬です。
しかし、急激に体の代謝を止めて炎症を抑えてしまうため細胞治療と一緒に使う事はできません。
ステロイドを併用する事で、培養した幹細胞の働きもグッと抑えてしまう可能性があります。
これから関節のダメージを幹細胞が回復させようとしている時に、ステロイド注射によって活動を抑えられてしまいます。
そのため、細胞治療を受ける際はステロイドの注射は受けない様にして下さい。
今回のまとめ
ヒアルロン酸注射やステロイド注射は、昔から行われている保存的治療です。
ただ、ステロイド注射は炎症による痛みを取るだけでなく組織を委縮させていまう働きもあるため、長期の使用はお勧めできません。
ヒアルロン酸やステロイドの注射、痛み止めの内服などの保存的治療で痛みが抑えられなくなってくると手術の選択肢が出てきますが、手術となると、なかなか踏み切れない方も多いかと思います。
そのようなときに、保存的治療と手術の間に位置付けられている再生医療が選択されるようになってきています。
当院で幹細胞治療を受けられた方の中には、ヒアルロン酸注射も併用されている方は沢山いらっしゃいます。
なかなか薬に関する事は、ご自身で判断する事は難しいと思いますので、他の病院に通っていて「他の整形外科ではこういう治療をしてもらってます」などのご質問を頂ければ回答します。
他の治療法でなかなか改善していない方は、一度セカンドオピニオン感覚でご相談下さい!
※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。
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