幹細胞治療のリスクについてご説明します。
2021年09月02日(木)
こんにちは。お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
この度、Youtubeとブログで改めて、再生医療について詳しく解説していくこととしました。
当企画では、皆様のご質問にお答えすることで、再生医療の適切な情報をお届けしたいと思っております。
今回は幹細胞治療の「リスク」「危険な点」についてお伝えしたいと思います。
治療とリスク
どんな治療法でもリスクは必ずあります。
痛み止めを飲んでも胃潰瘍になるリスクがあるなど、どのような治療法にもリスクが伴っています。
”副作用”
病気の治療に関わる主作用に対し、それとは異なる別の作用や有害である作用のこと。一般的には主作用以外の作用でも患者にとって不都合でない場合は副作用と呼ばないことが多い。病気の予防、診断、治療に通常用いられる用量で起こる好ましくない反応を有害反応(adverse reaction)と呼ぶ。医薬品添付文書では副作用の項目に有害反応が記してあり、一般には副作用と有害反応は同じ意味として扱われている。
薬学用語解説より
幹細胞治療のリスク1<注射に伴うリスク>
細胞を注射で関節に戻す必要があるため、針を刺したところから出血するリスクがありますし、針先から中に菌が入ってしまうリスクを0%にすることはできません。
そのため、出血や感染のリスクがあります。
しかし幹細胞は免疫とも関連がある細胞であるため、感染のリスクについてはあまり深刻にならなくても良いと考えています。
”体性幹細胞”
私達の体の中に存在し、組織や臓器を長期にわたって維持する重要な細胞です。きまった組織や臓器で、消えゆく細胞のかわりを造り続けている幹細胞です。一定の限られた種類の細胞に分化が可能ですが、分裂回数には限りがあります。
再生医療ポータルより
幹細胞治療のリスク2<戻した細胞が悪さをするリスク>
注射によるリスクの他にも、戻した細胞が悪さをして癌になってしまうとか、他の病気を誘発してしまうようなリスクが考えられます。しかし、そのようなリスクは今のところ調べられている範囲では「無い」と言われています。
「リスクがない」証明というのはとても難しいです。したがって、それまでは「リスクがない」とされていたものが、ある日突然「リスクが発生する」という話になってしまう可能性もあります。
しかし、今時点においては、少なくとも何十年か基礎研究として調べられている範囲でも、実際に臨床の現場で扱っている範囲でも、後に残るリスクや命に関わるようなリスクは「無い」とされています。
幹細胞治療のリスク3<他の組織ができることによるリスク>
細胞が体内で修復するために活動すると、他の組織(例えばコラーゲン)などを作ります。
コラーゲン
人の皮膚・血管・じん帯・腱・軟骨などの組織を構成する繊維状のたんぱく質です。人間の場合、体内に存在するすべてのたんぱく質の約30%を占めており、そのうちの40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、血管や内臓など全身の組織にも広く分布しています。
このコラーゲンが関節の中にランダムにくっつくと、関節は硬くなりやすくなります。
硬くなるとリハビリが大変になったり、硬さ自体が痛みの元になったりするため、関節をなるべく硬くしないことが重要になります。
リハビリの重要性
リハビリでしっかり動かすことで、張り付いた余分なコラーゲンの繊維を切ることができます。
そして必要な繊維だけを残すことで、しなやかな関節を維持できます。リスクを回避するためにも、リハビリをしっかりやることが重要になります。
当クリニックでは、リハビリに効果的なセルフストレッチ&筋トレの動画を公開しています。
今回のまとめ
基本的に幹細胞治療というのは、リスクが低い治療法と考えられています。しかし、リスクが全くないとは言い切れません。
そこで、当院では、治療に伴うリスクとベネフィットを天秤にかけていただきながら、治療をお受けいただくかをご検討いただいております。
※今日の内容は以下の動画でも見ることが可能です。何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味がある方は、当院公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。
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