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【膝や股関節の痛みがつらい方へ】体重と関節痛の意外な関係と再生医療の可能性

2025年04月25日(金)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。
今回は「体重と関節の痛みの関係」について、整形外科の視点から分かりやすく解説していきます。
特に膝や股関節に痛みを感じている方にとって、体重のコントロールがいかに重要かをお伝えします。

なぜ体重が関節に影響を与えるのか?

関節の痛みには、体重が大きく関わっています。
特に膝関節は、歩くたびに体重の7倍もの負荷がかかると言われており、体重が1kg増えると、膝には約7kgの負担がかかります。
股関節でも5倍程度の負荷がかかるため、体重の変化がダイレクトに関節の負担につながるのです。

そのため、わずかな体重増加でも痛みの悪化につながる可能性があります。
逆にいえば、体重を少し減らすだけで、痛みが和らぐこともあります。
実際、日々の診療でも「ほんの数キロ体重が減っただけで歩くのが楽になった」とお話しされる方が多くいらっしゃいます。

海外では体重管理が基本の治療に

アメリカでは、変形性関節症の治療において、最初に取り組むべきこととして「体重の管理」と「痛みへの理解」が挙げられています。
関節の構造や痛みのメカニズムを理解しながら、適切な体重コントロールを行うことが治療の第一歩とされているのです。

体重をコントロールすることで、関節の炎症や変形の進行を遅らせる効果も期待できます。
また、体重が減ることで血糖値や脂質、血圧といった生活習慣病の改善にもつながり、関節だけでなく全身の健康状態が向上する可能性もあるのです。

一方、日本では保険診療の中でこの2点が積極的に推奨されることは少なく、多くの方が「自分で頑張ってください」と言われるだけで終わってしまうケースも少なくありません。
体重コントロールは本人の努力に任せきりになってしまっている現状があるため、私たち医療者側もより丁寧な支援が必要だと感じています。

体重が500g減るだけでも痛みが軽くなる?

実際に、体重がわずか500g減っただけでも「膝の痛みが軽くなった」と実感される患者さんは多くいらっしゃいます。これは関節にかかる負担が非常に大きいため、少しの減量でも身体には大きな変化として表れるからです。

このような患者さんの声を聞くたびに、「無理なく取り組める方法を一緒に探すこと」の大切さを改めて感じます。
食事も運動も、無理をすれば長続きしません。
痛みが軽くなったという小さな成功体験が、次の一歩につながるようなサポートが必要です。

 

運動や食事制限は難しい…そんな時の選択肢

「痩せた方がいいのは分かってるが、関節が痛くて運動できない」
このようなお悩みを抱える方も多いと思います。

そんな時におすすめなのが、関節の痛みを一時的に緩和させる治療を併用する方法です。
たとえば、幹細胞治療PRP療法などの再生医療を取り入れることで、関節の痛みを軽減し、動きやすくなった状態で運動や生活改善を始めることができます。

こうした治療は、「ただ痛みを取る」ことだけが目的ではありません。
関節の環境を整え、「動ける体」をつくることで、本来やりたかった生活改善を実現しやすくするための“橋渡し”としても非常に有効です。

 

幹細胞治療で「動ける体」へ導く

幹細胞治療とは、患者さん自身の細胞を利用して関節の炎症や損傷を修復する治療法です。
痛みを軽減し、関節の状態を整えることで、無理なく体を動かすことができるようになります。

再生医療の力を借りて「まず動ける体」を作り、そこから体重を落とすという流れは、特に痛みが強く運動ができない方にとって現実的かつ効果的な方法といえるでしょう。

 

また、幹細胞治療は従来の保存療法と比べて、身体への負担が少なく、長期的な関節のコンディション改善にもつながるとされています。
「手術は避けたいけど、現状をどうにかしたい」と思っている方にとって、有効な選択肢となり得ます。

ちなみに、私自身も16時間断食などを取り入れながら、無理のない範囲で体重コントロールに取り組んでいます。
大切なのは、自分に合った「続けられる方法」を見つけることです。

人によって、ライフスタイルや食習慣、運動習慣は異なります。
そのため、誰かにとってベストな方法が、自分にとっても最適とは限りません。自分自身の身体の反応を見ながら、無理なく続けられるペースを見つけることが成功のカギです。

そして、続けることが何よりも効果的です。
たとえ月に1kgしか減らなかったとしても、それを6か月続ければ6kg減っていき、関節への負担は着実に軽減されていきます。

体重管理が関節痛改善の第一歩

関節痛と体重の関係は、見逃せない重要なテーマです。
体重が増えると関節の負担が増え、痛みが強くなります。
しかし、たとえ少しずつでも体重が減ってくれば、関節への負担は軽減され、痛みの緩和につながります。

「運動ができない」「食事制限が難しい」と感じる方でも、幹細胞治療やPRP治療などをうまく活用しながら、まずは“動ける状態”を目指すことで、自然と体重もコントロールしやすくなります。

体重管理は、関節の健康を守るためのシンプルかつ確実な方法です。
できることから少しずつ、あなたの体と相談しながら始めてみてください。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。

何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。

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