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再生医療で健康寿命を延ばしましょうセミナーPart3 〜寺尾医師による幹細胞治療の概要編〜

2023年01月15日(日)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。

今回のブログで私は、幹細胞治療の概要についてお伝えします。

再生医療の定義

最近耳にする事が多くなってきた再生医療ですが、日本では2014年に法律が施行されました。
再生医療等の安全性の確保等に関する法律、略して安確法と呼ばれています。


この法律によって、細胞や遺伝子を使って治療するためのルールが定められました。
再生医療の歴史は長く、1930年代頃からと言われています。


幹細胞が見つかったのが1970年代後半で、再生医療という概念ができたのは1990年代になります。
最近出てきた治療法に思われますが、昔から再生医療の治療法は考えられてきました。

再生医療の種類

組織工学
機能を失った臓器や組織を、工学の力を使って回復させます。
死んでしまった心臓の筋肉への心筋シートや、角膜異常への角膜細胞シートなどがあります。
こちらは臓器移植に近い考え方になります。

細胞治療
私たちの行っている治療法で、幹細胞が持っている分化能自己複製能を使って組織を修復します。
細胞がバラバラのままで、細胞の持っている能力を使って治療をしていきます。
最近、国内で主流になっている治療方法です。

細胞由来製品
細胞が出す成長因子や細胞を加工したものを使って治療します。
ワクチン遺伝子組換え製剤などがあります。

幹細胞の種類

体性幹細胞
自然に存在する幹細胞で、脂肪細胞骨髄の中に存在しています。
主に細胞治療で使用するのは、こちらの体性幹細胞になります。

ES細胞、iPS細胞
現在のところは組織工学のジャンルで、臓器に使われる事が多いです。
臓器でのみ使用される理由としては、倫理的な問題と、ES細胞、iPS細胞のまま使用してしまうと腫瘍ができてしまうリスクがあるからです。
そのため、臓器を作ってから移植する方法が主流です。

体性幹細胞の種類

Medicinal Signaling Cells
細胞の増殖を促すため、成長因子を出し、他の細胞を活性化させます。
また炎症抑制をしたり、免疫細胞に指示を出したりもします。
体性幹細胞と呼ばれるものの99%はこの種類です。

Tissue Specific Stem Cells
これ自体が組織を作る、高い能力がある細胞です。
ただ、数がとても少なくて0.03%〜0.1%くらいと言われています。
この細胞は、色々な大学から発表されていて、MUSE細胞(東北大学)・REC(島根大学)などがあります。


しかし、やはり数が少ないので実用化までは至っていません。
そのため実際に現場で使う際は、体性幹細胞群として使用します。
2種類のいいところをコンビネーションとして使用し、体を修復するという流れです。

治るベースとなるホメオスタシス

ホメオスタシスとは簡単にいうと、体温を維持したり、免疫を正常にしたりと身体を正常な状態に保つ働きをいいます。
ホメオスタシスを維持するためには、物質の合成をする細胞が大切になってきます。
そのため幹細胞の力を借りて、物質合成をして体の修理をしていきます。

その治療用の細胞なのですが、研究は進んでいますが1から作り出すというのはできておらず、現在のところ、集めてくるか培養するしか方法がありません。
昔は、300mmの大量の脂肪を採ってきて、その中の幹細胞を集めて患部に打つという方法でした。
しかし、体から大量の組織を採ってこなければいけないので患者さんの負担がとても大きかったです。
現在主流になっているのは、培養という方法です。
局所に細胞治療を行う場合は、細胞の数が1000万〜1億個ぐらい必要といわれています。
当院では、すぐ上の階にある培養施設で、1億個を目指して培養をしています。
少量の脂肪から培養しますので、患者さんの負担も少なくてすみます。

次回講義では、慢性疼痛と身体的フレイルについてお話ししていきます。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。

何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味がある方は、当院の公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。

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