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【エントロピーと再生医療】―院長のブログ

2021年07月21日(水)

とても面白い記事をWebで読んだので共有させていただきます。

 

『エントロピーが「時を戻す悪魔」を倒すまでの150年におよぶ戦い』

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74427?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

 

高水裕一という物理を専門にしている方が書かれた記事です。

得意ではないものの、個人的に物理学の話が好きなので読んでみたところ、

私の仕事にも関わるような考え方が書かれていました。

 

この記事では、エントロピーを使って、時間が逆戻りしないことについて解説しています。

エントロピーを理解する上で分かりやすい例が書かれていました。

 

コーヒーにミルクを垂らした時、最初は1か所にまとまっているものの、

その後徐々にカップ全体に広がっていきます。

このような現象は、自然界のすべての物質で起こっているそうです。

まとまっている状態(秩序が高い状態)にあるものは、必ず乱雑な状態(秩序の低い状態)に

向かう(エントロピーが増大する)、この法則のことを「エントロピー増大の法則」と言い、

自然界のすべての物質が従う法則なのだそうです。

 

この記事の中で「私たち「生物」はエントロピーに歯向かう反逆者」という章がありました。

生物が持つ恒常性は、エントロピー増大の法則にあらがおうとするメカニズムなのだそうです。

そう言われると、確かに腹落ちする点もあります。

 

自然に任せていたら体の機能は維持できない(エントロピーが増大)ため、病気になってしまいます。

病気にならないように、様々なメカニズムを使って頑張るものの、その頑張りが及ばなくなると

病気になってしまうのでしょう。

 

少しでも体内のエントロピーを増大させないため、薬や治療法が開発されてきました。

幹細胞による治療は、その最たるもののように思います。

恒常性維持の中心的な役割を担っている幹細胞を増やし、体に戻すことでエントロピーの

増大を抑制し、病気の予防や治療を実現する。

こう考えると、今まで携わってきた再生医療が、少し違った感じで捉えることができるように思いました。

 

せっかく物理の法則に抗うためのメカニズムを体内に持っているのですから、最大限活用したいものです。

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