眼窩脂肪の幹細胞治療
2022年09月25日(日)
こんにちは、お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
前回の企画(目の下のタルミを脱脂手術 しかもその脂肪から幹細胞を培養⁈)で、私の目の下の脂肪の中に幹細胞は存在するのかという実験をしました。
今回は、その後の結果をお伝えしていきます。
前回の企画の時に採った脂肪細胞を東京大学で培養してもらい、分化誘導(ぶんかゆうどう)という実験を武田先生にしてもらいました。
実験その1:表面マーカー
表面マーカーとは、細胞の表面には細胞の種類によって違う目印みたいなものがあります。
これを調べると、この細胞はどの様な種類なのかというのを大まかに調べる事ができます。
幹細胞のマーカーとしてCD70、CD90、CD105というマーカーがあります。
これらのマーカーが高いという事が、必ずしも幹細胞だという事ではないのですが、これらが揃っている事で幹細胞が存在している可能性が高いという事がわかります。
この山状になっている数値が出ているという事は、幹細胞がいる可能性が高いというのが確認できます。
実験その2:脂肪分化
採ってきた細胞がどのくらい分化(ぶんか)するのかという作業です。
分化というのは、培養した時に別の細胞に置き換わる事ができるのかどうかという事です。
例えていうと、赤ちゃんはこれから教育次第で様々な職種のスペシャリストになる可能性があります。
電車の運転手になったり、警察官になったりと様々な可能性があります。
これを分化度が低いといい、幹細胞がこれにあたります。
一方すでに大人になり、ある職種のスペシャリストになっていると、そこから全く別の業種に移り変わる事は難しいです。
これを分化度が高いといい、例えば皮膚が血液に変わるといった事がないというイメージです。
私の目の下の脂肪細胞の中の幹細胞が、どのくらい他の細胞になれるかを調べた実験という事です。
分化培地(ぶんかばいち)というものを使って幹細胞が脂肪になるかどうか調べました。
分化誘導をかけると、白い色(左)からピンク色(右)になりました。
このピンク色が脂肪の粒です。
ピンクが多いため、幹細胞が脂肪になりましたという証明になります。
実際に見た目だけではなく、吸光度(きゅうこうど)というものも測定していきます。
吸光度とは、溶液に吸収される光の量のことを指します。
簡単にいうと幹細胞が脂肪に置き換わり、光が通りにくくなり、しっかりと脂肪になりましたという事です。
実験その3:骨分化
今度は幹細胞が骨になるのかという実験をしていきます。
こちらも白い色(左)からピンクと紫色(左)に変化しました。
アリザリンレッド染色とALP染色という方法で行いました。
そのどちらも色が出ていて、幹細胞が骨にも分化したという事が証明されました。
実験その4:軟骨分化
左上の丸いツブツブの中を拡大すると、下の大きい丸になります。
大きい丸の中のピンク色は、軟骨の細胞を表しています。
ピンク色をしているので軟骨に分化していますという証明にはなりますが、軟骨の密度がもっと多いと赤っぽくなります。
この画像だとピンク色なので少し密度が低い感じではありますが、それでもしっかり軟骨にも分化するという証明になります。
今回のまとめ
今回は、私の目の下の脂肪からでも幹細胞がいるという事がわかりました。
目の下の脂肪だけではなく、皮膚の下にもいますし鼻の奥など体の色々なところに幹細胞は存在しています。
幹細胞は全身にいて、体の修理を担当しています。
ただ、関節の軟骨や筋肉に幹細胞が少ないところがあります。
そこに幹細胞を培養して注入して、傷の治りを促す事ができます。
幹細胞は自分の細胞なので、自分の細胞で傷ついた自分の細胞を治す事ができます。
幹細胞を注入する事は、体にとってダメージが少なくて効果の出る治療法です。
関節が痛い、筋肉が痛いなどお困りの症状があれば当院で治療する事ができますので、ぜひ一度ご相談ください。
※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。
何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
少しでも興味がある方は、当院の公式サイトをご覧頂き、お気軽にお問い合わせ下さい。
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