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整形外科医が語る“提案型”クリニックの考え方

2025年08月04日(月)

こんにちは、お茶の水セルクリニックの寺尾です。

今回は「私たちがどのようなスタンスで治療をご提案しているか」について、お伝えしていきます。
再生医療というと「幹細胞治療」や「PRP療法」など、先端医療のイメージが先行しがちですが、私たちが考えるのは“本当に患者さんにとって必要な治療かどうか”という視点です。

再生医療=万能?ではないからこそ冷静な判断を

私たちは再生医療を専門に扱うクリニックとして、幹細胞治療やPRP治療を日々行っています。
ただし、誰にでもこれらの治療を勧めているわけではありません。
患者さんの関節の状態や希望、治療歴を丁寧に伺い、そのうえで「今、本当に再生医療が最適なのか」を見極めていきます。

実際、診察して「この状態なら標準治療で十分に良くなる可能性が高い」と判断するケースも多くあります。細胞治療ありきで話を進めるのではなく、その方に合った最良の方法を一緒に考えていきます。
それが基本な当院の考え方です。

変形が強い場合は手術をおすすめすることも

例えば、膝の変形がかなり進んでいて、日常生活にも支障が出ている方の場合では、幹細胞を投与したとしても、期待しているほどの効果が出ない可能性があります。

そのような時は、「人工関節手術の方が早く楽になる可能性が高いですよ」と率直にお伝えします。
再生医療を扱うクリニックだからといって、それしか案内しないというのは誠実ではないと思っています。

もちろん、患者さんの考えや希望を尊重することが前提です。無理に手術をすすめることはありませんが、「何が現実的に一番楽になるか」を医学的な視点で丁寧にお伝えするよう心がけています。

標準治療を受けたことがない方へ

なかには「再生医療の方がすごそうだから」と、標準的な保存療法を飛ばして来られる方もいらっしゃいます。
でも実は、電気治療や運動療法(いわゆるリハビリ)をきちんと続けることで症状が改善するケースも少なくありません。

例えば、当院で推奨している“ぶらぶら体操”のような簡単な運動でも、コツコツ取り組めば関節の状態が変わってくることもあります。
もしリハビリをやっていなかった方には、まずそこから始めていただきます。
それで変化がなければ「再生医療という選択肢を一緒に考えていきましょう」とご案内しています。

「えっ、そんな簡単な体操で変わるんですか?」と驚かれることもありますが、実際に週3回の運動療法とストレッチだけで、半年後には階段の昇り降りが楽になったという患者さんもいます。

相談したからといって細胞治療を勧められるわけではない

「再生医療の相談に行ったら、細胞の話しかされなかった」
「ほかの治療は他で聞いて」
と他院に行かれた患者さんから、こんな声を聞くことがあります。

本来、治療の選択肢は一つではないはずです。
例えばリハビリや薬物療法、注射療法、あるいは手術まで含めて、それぞれの良さやリスクを知ったうえで判断すべきです。
その中で「再生医療が今のあなたに合っている」と確信をもてる状況で選んでいただくのが、納得感のある治療につながると思います。

当院では、細胞治療の前にどんな治療を経験されたか、どんな場面で困っているのかを丁寧にお聞きしています。
そのうえで「今できる最も良い選択肢」が細胞治療でない場合も、はっきりお伝えします。

“売るための治療”ではなく、“一緒に考える治療”を

私たちは、患者さんの身体の状態と向き合い、その方の未来を一緒に考える存在でありたいと思っています。
もちろん、幹細胞治療やPRPがうまくはまって劇的に改善される方もいますし、その姿を見るのは私たちにとっても大きなやりがいです。

しかし、細胞治療は万能ではありません。
だからこそ、他の選択肢を知っていただいた上で「やっぱりこれを選びたい」と言ってもらえる関係でいたいと考えています。

本音を言えば、医師として細胞治療の成果を出したい気持ちも当然あります。
ただ、それ以上に「この人が楽になってよかった」と思える治療を一緒に選んでいけることのほうが、何よりも大切だと感じています。

“細胞治療ありき”ではない治療のかたち

関節の痛みに悩んでいると、つい“すごい治療”に飛びつきたくなる気持ち、よくわかります。
しかし、痛みの原因や関節の状態は人それぞれで、必ずしも最新の治療が最適とは限りません。

私たちは、あなたにとって本当に必要な治療を一緒に見つけていくスタンスでいます。
「細胞の話しかしない」クリニックではないこと、どうか安心してご相談ください。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。

何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。
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