第2回YouTubeライブ 医師と話そう!気になる医療のことゆるっとライブ
2026年07月10日(金)
こんにちは。
お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
先日、第2回となるYouTubeライブを行いました。
前回のYouTubeライブのブログはこちらから
↓
第1回YouTubeライブ 医師と話そう!気になる医療のことゆるっとライブ
今回は、当院で木曜日の外来を担当している杉谷先生にも参加していただき、細胞治療の実際や自由診療に対する不安、患者さんが医療機関を受診する際に感じるハードル、さらには幹細胞治療とiPS細胞治療、エクソソームとの違いなど、普段の診察室でもよくいただく質問を中心にお話ししました。
今回は、その中でも特に多くの方に知っていただきたい内容を、ブログとして改めて整理してみたいと思います。
手術の前に、細胞治療を検討できる可能性
杉谷先生は、東京警察病院で整形外科診療に携わりながら、当院では細胞治療を担当しています。
もともと手術や外来を日常的に行っている整形外科医が、実際に細胞治療に関わってみてどう感じているのかを聞いたところ「すべての患者さんに効くわけではないものの、合う方には驚くほど良い変化が出ることがある」と話していました。
これは私自身も長く感じてきたことです。
細胞治療は、手術の完全な代替になるものではありません。
病状によっては、もちろん手術を選ぶべきケースもあります。
ただ、手術は身体的にも心理的にもハードルが高く、できれば少しでも先に延ばしたい、あるいはその前に取れる選択肢があるなら試してみたい、と考える方は少なくありません。
そうしたときに、細胞治療が一つの選択肢になることがあります。
実際、当院に関わる医師の中にも、最初は慎重に見ていたものの、治療後の変化を経験する中で「手術の前に検討する価値がある」と考えるようになった先生がいます。
もちろん、誰にでも適している治療ではありません。
だからこそ当院では、細胞治療を前提に話を進めるのではなく、まず現在の状態を丁寧に確認し、その方にとって何が最も妥当な選択肢なのかを考えることを大切にしています。
なぜ自由診療に不安を感じるのか
YouTubeライブ中には、「周りに自由診療を受けている人がいないので不安です」というコメントもいただきました。
これはとても自然な感覚だと思います。

「保険診療は正しい治療で、自由診療はどこか怪しいもの」という印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、自由診療と一口に言っても内容はさまざまで、中には医学的に慎重に見るべきものが存在するのも事実です。
一方で、自由診療だからこそ提供できる医療もあります。
新しい治療法は、まず保険診療の外で実施され、実績や評価が積み重なったのちに保険収載されることもあります。
過去には、当初は自費診療で行われていた術式が、後に保険診療として認められた例もありました。
再生医療については、一般的な自由診療とは異なり、実施にあたって一定の審査や届出が必要です。
計画書の作成や論文の提出などを経て、はじめて提供できる枠組みになっています。
もちろん、それだけですべてが保証されるわけではありませんが、少なくとも「思いつきで始められる治療」ではありません。
当院では、費用がかかる治療だからこそ、良い面だけを強調するのではなく、適応があるかどうか、他の治療を優先した方がよいのか、手術を考えた方がよいのかも含めて率直にお伝えしています。
一人ひとりに丁寧に向き合いたい
自由診療のメリットとして、診察に十分な時間を確保しやすいという点があります。
保険診療では、医師が患者さん一人ひとりに丁寧に向き合いたいと思っていても、診療体制上どうしても時間的な制約が生じます。
予約枠を超えて多くの患者さんが来院されることもありますし、急患や当日受診の方への対応も必要です。
その中で、病状の説明、治療選択肢の整理、今後の見通しまで十分にお伝えしようとすると、どうしても限界が出てきます。
当院では、原則として1時間に1人の診療枠を設けています。
これは、単にゆっくり話すためではなく、患者さんの状態を丁寧に確認し、画像や過去の治療経過も踏まえながら、今どのような選択肢があるのかを一緒に整理するためです。
治療を急いで決めるのではなく、まず現状を理解していただくこと。
そして、納得したうえで次の一歩を選んでいただくこと。私たちはそこに大きな価値があると考えています。
「もっと早く相談しておけばよかった」とならないために
医療機関を受診すること自体に、強いハードルを感じる方は少なくありません。
YouTubeライブ中にスタッフへ聞いたところ「相当痛くないと病院には行きづらい」という声がありました。
これは、おそらく多くの方に共通する感覚なのではないでしょうか。
少し痛むけれど、そのうち治るだろう。
前にも似たようなことがあったから、今回も様子を見よう。
仕事が忙しいし、病院に行くほどではない気がする。
こうして我慢しているうちに症状が進み「もうかなり困っている」という段階で来院される方も多くいらっしゃいます。

もちろん、自然に改善する症状もあります。
ただ一方で、早めに状態を確認しておいた方が、結果的に選べる治療が広がる場合もあります。
細胞治療についても、状態が大きく進行してからより、比較的早い段階で相談いただいた方が、より良い選択肢を考えやすいことがあります。
当院では、細胞治療に関するご相談については、適応の有無にかかわらず無料でカウンセリングを行っています。
診察の結果、手術の方がよいと判断する場合もありますし、まずは別の保存療法を行ってから再検討しましょうとお伝えする場合もあります。
何か特定の治療に誘導するためではなく、「今の自分の状態を知る場所」として、気軽に活用していただければと思っています。
幹細胞治療とiPS細胞治療は、目指しているものが違います
「幹細胞治療とiPS細胞治療は何が違うのですか?」という質問は、外来でも非常によくいただきます。
当院で行っている幹細胞治療は、主に脂肪由来の幹細胞を用いた細胞治療です。
幹細胞が持つ働きを活かし、炎症を抑えたり、組織の修復に関わる環境づくりを促したりすることを目的としています。
一方、iPS細胞を用いた治療は、考え方がかなり異なります。
iPS細胞から特定の細胞や組織を作り、将来的には臓器や組織そのものを置き換えるような治療が目指されています。
たとえば網膜のような薄い組織であっても、細胞を必要な形に育て、さらに移植に適した構造に整えるには高度な工程が必要で、非常に大きなコストと技術が求められます。
どちらも「再生医療」と呼ばれることがありますが、
- 幹細胞治療は、体の中の修復反応を助ける治療
- iPS細胞治療は、組織や臓器そのものを再構築することを目指す治療
と考えると、違いがわかりやすいかもしれません。
幹細胞とエクソソームの違い
近年、「エクソソーム」という言葉を耳にする機会も増えました。
YouTubeライブでは、「膝の半月板損傷に対して、幹細胞治療とエクソソームは何が違うのか」という質問もありました。
幹細胞は、その名の通り「細胞」です。
体内に入ると、さまざまな物質を出しながら周囲の環境に働きかけます。
その中の一つとして注目されているのが、エクソソームです。
エクソソームは、細胞が放出する非常に小さな粒子で、その中にはさまざまな情報伝達物質が含まれていると考えられています。
以前は単なる老廃物のように扱われていましたが、現在では細胞間の情報伝達に関わる重要な存在として研究が進んでいます。
診察室では、わかりやすくお伝えするために、
- エクソソーム治療は「薬を一回入れる」ようなイメージ
- 幹細胞治療は「薬を作り続ける工場を入れる」ようなイメージ
と説明することがあります。
幹細胞は体内に入ったあと、一定期間さまざまな物質を放出し続けるため、エクソソーム単体の投与とは性質が異なります。
ただし、エクソソームもまだ研究が進んでいる段階の領域であり、安全性や有効性については慎重に見ていく必要があります。
当院では、現時点で患者さんご本人の細胞をもとに作製する幹細胞治療を中心に考えています。
減量や筋力改善は、膝の治療でとても重要
変形性膝関節症や膝への負担が気になる方からは「減量した方がよいのか」「薬で体重を落とすことは治療に役立つのか」といった質問もあります。

海外の変形性膝関節症の治療方針では、痛みについて理解することと、体重管理が初期対応として重視されることがあります。
日本では、こうした生活指導が十分な医療行為として扱われにくい面もありますが、体重の減少や筋力の改善によって症状が大きく変わる方は実際にいらっしゃいます。
YouTubeライブでは、肥満治療薬であるマンジャロについても話題になりました。
薬の併用自体が細胞治療に直接悪影響を与えるわけではないと考えられる一方で、通常のダイエット目的で安易に使用することには慎重であるべきです。
可能であれば、まずは筋力をつけながら体重を減らすことが望ましく、筋肉そのものが炎症を抑える方向に働く可能性にも触れました。
膝の治療を考えるとき、注射や手術だけでなく、体重、筋力、日常生活での負担まで含めて見ていくことが大切です。
※マンジャロとは
マンジャロは、血糖値を整えるために使われる週1回の注射薬です。
食欲を抑える働きもあるため、治療の中で体重が減ることがあります。
ただし、誰でも減量目的で使う薬ではなく、体の状態を見ながら医師が必要性を判断する薬です。
医療は「説明する力」も含めて成り立つもの
今回のライブでは、「過去に病院で冷たく対応された経験があり、受診に勇気がいる」というコメントもありました。
これについては、とても残念に思います。
医師側から見れば軽症に見える状態だったのかもしれません。
あるいは、外来が混み合っていて余裕がなかったのかもしれません。
それでも、「大したことない」「年齢のせいです」と一言で片付けられてしまえば、患者さんは不安を抱えたまま帰ることになります。
医療は、知識や技術だけで完結するものではありません。
何が起きているのかを分かりやすく説明すること、来院した方が少しでも納得し、安心して帰れることも大切です。
実際に杉谷先生も、働き盛りの方が時間を作って受診されることへの重みを意識し「来ていただいた以上、何かしらプラスになるものを持って帰っていただきたい」と話していました。
当院でも、診察室に入ったときより、出るときの方が少しでも気持ちが軽くなるような医療を目指しています。
まずは「治療を受けるか」ではなく、「状態を知る」ことから
再生医療や自由診療に関心はあるけれど、自分に本当に必要なのかわからない。
手術をすすめられたけれど、他の選択肢があるのか知りたい。
膝や股関節の違和感が続いているが、まだ受診するほどではない気がする。
そうした方にこそ、一度ご相談いただきたいと思っています。
治療を受けるかどうかは、その後に決めればよいことです。
まずは現在の状態を把握し、何が起きているのか、どのような選択肢があるのかを知ることが大切です。
お茶の水セルクリニックでは、治療を急がせるのではなく、必要な情報を丁寧に整理しながら、一人ひとりに合った考え方をお伝えしています。
気になる症状がある方、今後の治療方針に迷っている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。
何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。
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