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再生医療・幹細胞治療は本当に効果があるのか?

2026年06月12日(金)

こんにちは。
お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。

今回は、患者さんからもよくご質問いただく、「再生医療や幹細胞治療は本当に効果があるのか?」というテーマについてお話ししたいと思います。

再生医療という言葉は、以前よりも少しずつ一般的になってきました。
一方で、「本当に効くのだろうか」「高額な治療だけれど、自分に合うのだろうか」「何にでも効くように言われているけれど、本当なのか」と、不安や疑問を持たれる方も多いと思います。

結論から言うと、幹細胞治療は一定の効果が期待できる治療だと考えています。
実際に当院で治療を受けられた方の経過を見ても、痛みや機能の面で変化が見られる方はいらっしゃいます。

ただし、ここで大切なのは、「何にでも効く治療ではない」ということです。

再生医療は魔法のような治療ではありません。
病気の状態、関節の変形の程度、痛みの出ている場所、筋力や体の使い方などによって、期待できる変化は変わります。

そのため当院では、良い面だけを強調するのではなく、どのような方に向いているのか、どのような場合には別の治療も考えるべきなのかを含めて、慎重にお伝えするようにしています。

変形が強いほど痛いとは限らない

変形性関節症の場合、一般的には関節の変形が強いほど症状も強くなりやすい傾向があります。
一方で、実際の診療では少し不思議なことも起こります。

画像上はかなり変形しているのに、ほとんど痛みがない方がいます。
反対に、レントゲンやMRIで見る限り大きな変形がないように見えても、強い痛みを感じている方もいます。

つまり、関節の痛みは、単純に「変形の強さ」だけで決まるわけではありません。

幹細胞治療でも同じことが言えます。
変形が強い方でも痛みが大きく減ることがありますし、変形が軽い方でも思ったほど痛みが取れにくいことがあります。

なぜこのような違いが出るのかというと、関節の痛みは一つの組織だけから出ているわけではないからです。

関節の痛みは、軟骨だけが原因ではありません

膝や股関節などの関節について話すとき、よく「軟骨がすり減っているから痛い」と言われます。

もちろん、軟骨のすり減りは関節の状態を見るうえで大切な要素です。
ただ、実は軟骨そのものには神経がありません。
そのため、正常な軟骨を直接刺激しても、基本的には痛みを感じにくい組織です。

では、なぜ関節が痛くなるのか。

関節の中には、軟骨だけでなく、骨、靭帯、滑膜、関節包など、さまざまな組織があります。
変形が進むと、軟骨の周囲や関節内に余分な神経が入り込み、それが痛みを拾ってしまうことがあります。

また、軟骨が薄くなることで関節にガタつきが出ると、その不安定さ自体が痛みにつながることもあります。

つまり、関節の痛みは、軟骨が減ったから痛いという単純な話ではなく、関節全体の環境や安定性が関係しているのです。

幹細胞治療で期待される作用

幹細胞治療で期待される作用の一つに、関節内の環境を整える働きがあります。

たとえば、幹細胞が滑膜に働きかけることで、関節内のコンディションが変わる可能性があります。
滑膜や関節包は、関節を包み込み、動きを滑らかにしたり、安定性を保ったりする役割を持っています。

※滑膜とは
関節の内側にある薄い膜で、関節液を作り、関節の動きを滑らかにする役割があります。

※関節包とは
関節を包み込んでいる袋状の組織で、関節の安定性を保つ働きがあります。

関節が不安定になると、痛みが出やすくなります。
そのため、滑膜や関節包の状態が整い、関節の安定性が上がることは、痛みの軽減につながる可能性があります。

もちろん、幹細胞を入れたからといって、失われた軟骨が必ず元通りになるわけではありません。
ここは誤解されやすいところですが、「軟骨が完全に再生する治療」として過度に期待しすぎるのは適切ではないと思います。

ただ、関節内の炎症や痛みの出方、関節の安定性に関わる環境を変えていくことで、結果として痛みが減り、動きやすくなる方がいらっしゃいます。

痛みを減らすには、関節の安定性も大切

変形性関節症では、関節の中のクッションが減ることで、関節にガタつきが出ることがあります。

膝の軟骨は、厚みとしては数mmほどの非常に薄い組織です。
そのわずかな厚みが失われるだけでも、関節のかみ合わせや動き方に影響が出ます。

関節が不安定になると、歩くたびに特定の場所へ負担が集中します。
その状態が続くと、痛みが出やすくなったり、さらに動きが悪くなったりすることがあります。

そのため、痛みを減らすには、細胞治療だけでなく、関節の安定性をどう高めていくかも非常に重要です。

そこで大切になるのが、リハビリテーションです。

再生医療とリハビリは、セットで考えるべきもの

再生医療や幹細胞治療というと、「細胞を入れれば終わり」と考えられがちです。
しかし、私はそうは考えていません。

関節の治療では、細胞治療によって関節内の環境を整えることに加えて、リハビリによって正しい動きや筋力を取り戻していくことが大切です。

リハビリテーションには、電気をかけたり、痛みを和らげたりするだけでなく、
・正しい動き方を身につける
・筋肉をつけて関節を安定させる
・特定の部位に負担が集中しないようにする
という大切な役割があります。

筋肉がしっかり働くようになると、膝や股関節の安定性が上がります。
また、筋肉そのものには炎症を抑える方向に働く可能性もあるため、痛みの軽減にも関わってきます。

さらに、関節を適切に動かすことで、関節包や滑膜も伸び縮みし、関節全体のコンディションが整いやすくなります。

つまり、再生医療とリハビリは別々のものではありません。
細胞治療で関節内の環境を整え、リハビリで体の使い方を変えていく。
この両方を考えることが、より良い結果につながると考えています。

自費リハビリの詳しい話は、こちらのブログをご覧ください

【リハビリ難民とは?】保険でのリハビリが終わった後の選択肢と解決策について

リハビリの最大の課題は「続けること」

リハビリが大切だということは、多くの方が理解されています。

運動が体に良いことも、筋力をつけた方がよいことも、ほとんどの方が頭ではわかっていると思います。
それでも、実際に続けるのは簡単ではありません。

仕事や家事で忙しい。
毎日やるのが面倒になる。
何をすればいいのかわからない。
痛みがあると、本当に動かしてよいのか不安になる。

このような理由で、リハビリや運動が続かなくなる方は少なくありません。

だからこそ、最初から難しいことをしようとしすぎる必要はないと思います。
まずは、簡単にできる体操や、短時間でも続けられる運動から始めることが大切です。

理学療法士と一緒に、自分に合った運動を見つける

リハビリを始めるときに大切なのは、自己流で無理に頑張ることではありません。
理学療法士に関節の状態を見てもらい、筋肉の使い方や体の動かし方、痛みが出る原因を評価してもらうことが重要です。

その評価をもとに、
「今の状態なら、この体操をしましょう」
「この動きは控えめにしましょう」
「まずはここを鍛えましょう」
というように、自分に合った運動を選んでいくことができます。

理想的には、理学療法士と一緒にリハビリを行い、自宅でもできる運動を覚え、定期的にチェックを受ける形です。

もちろん、頻繁に通院するのが難しい方もいらっしゃると思います。
その場合でも、最初に専門家の評価を受けて、自宅で効率よく続けられる運動を教わるだけでも意味があります。

サポーターをうまく活用することも選択肢

関節の安定性を高めるという意味では、サポーターも有用な場合があります。

一般的なサポーターは、動きをある程度制限することで関節を安定させるものが多くあります。
一方で、スポーツ選手が使うようなサポーターの中には、できるだけ動きを妨げずに、関節の安定性を高めることを目的としたものもあります。

スポーツ選手は、痛みや不安定感があっても競技を続けなければならない場面があります。
そのため、パフォーマンスを大きく落とさずに関節を支えるサポーターが、各メーカーによって研究・開発されています。

もちろん、サポーターだけで根本的に関節が良くなるわけではありません。
ただ、日常生活や運動時の不安定感を減らす補助として、うまく活用できることがあります。

自分の関節に合う治療かどうかを知ることが大切

再生医療や幹細胞治療は、何にでも効く治療ではありません。
ただ、一定の効果が期待できる治療であることも、少しずつ分かってきています。

大切なのは、自分の関節の痛みがどこから来ているのか、細胞治療が適している状態なのか、リハビリやサポーターや他の治療を組み合わせた方がよいのかを丁寧に見極めることです。

当院では、再生医療を無理にすすめるのではなく、まず現在の状態を確認し、その方にとって本当に必要な選択肢を一緒に考えることを大切にしています。

「自分の関節には再生医療が合うのだろうか」
「手術をすすめられたけれど、他の選択肢があるのか知りたい」
「リハビリを続けても痛みが残っている」

そのような疑問がある方は、一度ご相談ください。

治療を受けるかどうかは、その後に決めればよいことです。
まずは今の状態を知り、どのような選択肢があるのかを整理することが大切です。

※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。


何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。

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