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【血友病性関節症と幹細胞治療】ーDr.寺尾の日本再生医療学会WEB発表

2020年06月08日(月)

こんにちは!院長の寺尾です。

 

今年も日本再生医療学会に参加しました。

 COVID-19の影響で、多くの学会が中止や延期になりました。

19回日本再生医療学会も同様で、今年の学会はWeb上での開催となってしまいました。

学会発表は、最前線で研究している先生方の発表を直に聞くことができる機会です。

個人的にはWeb開催は少し残念でしたが、致し方ないことだと思っています。

 

今回、私は以下のような内容でWeb発表をさせてもらいました。

「ポスター発表」と呼ばれるジャンルでの発表です。

データを掲載する形式での発表でしたが、無事に発表ができて良かったと思っています。

 

「血友病性膝関節症に対する脂肪由来幹細胞治療の1例」

 

血友病は血液を固めるために必要な成分(凝固因子)に異常があるため、出血した際に血が止まりにくくなる病気です。

関節の中で起きた出血も止まりにくくなるため、関節の中に血が貯まってしまうことがあります。

血が貯まると血液に含まれる鉄分などが軟骨や滑膜に悪影響を及ぼし、関節が変形してしまうことがあります。

このように血友病が原因となって関節が変形してしまうことを「血友病性関節症」と呼びます。

血友病性関節症は膝(ひざ)だけでなく、足首(足関節)などにも起こってしまいます。

 

一般的な変形性関節症は高齢になって発症することが多いです。

しかし、血友病性関節症は若い方でも発症してしまいます。

「血友病治療ガイドライン」によれば、10歳以降であれば、いつでも発症する可能性があるとのことです。

若い人の関節が変形してしまった場合、耐用年数の問題などから人工関節置換術以外の治療法を選びたいところですが、なかなか良い方法がありませんでした。

そこで今回、幹細胞治療が血友病性関節症の新しい選択肢となる可能性があるということを報告するための発表をしました。

 

血友病性膝関節症の方に対して幹細胞治療を行ったところ、痛み(VASVisual Analogue Scale)や機能(KOOSKnee injury and Osteoarthritis Outcome Score)の改善が顕著に認められました。

その効果は治療後1年経っても継続していました。

 

血友病性関節症では、関節は大きく変形してしまうことがあります。

今回治療した方の膝も、とても大きく変形していました。

幹細胞治療で、その変形を全て元通りにすることはできません。

ですが、変形が残っていても、幹細胞治療で症状が緩和され日常生活が改善されることができました。

治療後、仕事に復帰することができたと患者様から聞きました。

それを聞き、幹細胞治療に携わってきて本当に良かったと感じています。

 

幹細胞治療は、体への負担も少なく、リスクも低い治療法だと思っています。

当院で行っている治療法は、特に体への負担を少なくするようになっています。

ですので、血友病の方でも受けていただきやすい治療法になっていると自負しています。

1例の結果ですので、全ての血友病性膝関節症に効くかは分かりません。

ですが、選択肢の一つとして幹細胞治療が検討しても良いと思っています。

 

幹細胞治療には多くの可能性が秘められているのだと思います。

 

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