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【アレルギー性鼻炎に対する細胞治療の効果】―院長のブログ

2021年04月06日(火)

アレルギー性鼻炎の症状がなくなった!?

昨年の秋頃に幹細胞点滴を受けた方から、興味深い話を聞きました。

その方は元々アレルギー性鼻炎があるとのことでしたが、幹細胞点滴を受けて以後

全く症状が出なくなったとのことでした。

コロナのためにマスクをしているためではないかと伺ったところ、ハウスダストに対する

アレルギー性鼻炎のため、自宅で鼻が詰まるなどの症状があったとのことですが、その症状が

全くなくなったとのことでした。

別の病気の治療として幹細胞点滴を受けた方ですが、副次的に良い効果が出てくれたようです。

 

幹細胞とアレルギー性鼻炎に関する論文

今までアレルギー性鼻炎に対する幹細胞の効果に関する論文について調べたことがなかったので

調べてみたところ、このような論文がありました。

 

Park, I. S., Kim, J. H., Bae, J. S., Kim, D. K., & Mo, J. H. (2020). The Supernatant of Tonsil-Derived Mesenchymal Stem Cell Has Antiallergic Effects in Allergic Rhinitis Mouse Model. Mediators of inflammation2020.

 

2020年に発表された論文です。

扁桃腺由来の間葉系幹細胞の培養上清が、アレルギー性鼻炎マウスモデルで抗アレルギー効果を

示したという題名の論文になります。

培養上清というのは、細胞を培養して増やしていく時にできる液体のことです。

細胞を増やすためには培養液という栄養素のようなものを使うのですが、培養をしていくと培養液の中に

細胞から放出された成長因子などが含まれてきます。

成長因子などが多くなった培養液のことを上清と呼んでいるのですが、この上清自体に治療効果がある

という話が以前から言われていました。

扁桃腺にある幹細胞の上清を使ったところ、マウスのアレルギー性鼻炎の症状などを

減少させたとのことです。

動物実験の結果ですのでこの結果がヒトにあてはまるとは限りませんが、成長因子などの効果で作用が

出るのであれば、別の病気を治療する目的で細胞投与を受けた方が、アレルギー性鼻炎の症状が改善した

ということにも納得できる部分があります。

 

最後に

アレルギー性鼻炎の患者様は年々増えてきているという話もありますし、幹細胞治療が有効であるならば、

とても良い話だと思います。

どのぐらいの期間、アレルギー性鼻炎の症状が出ないか、引き続き患者さんから教えていただこうと思います。

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