GLP 1受容体作動薬(マンジャロやゼップバウンドなど)と整形外科の視点:体重管理が関節に与える影響
2026年07月31日(金)
こんにちは、お茶の水セルクリニック院長の寺尾です。
今回は、最近話題になることの多いGLP-1作動薬について、整形外科の視点も交えながらお話ししたいと思います。
GLP-1作動薬という言葉は、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
特に最近では、「マンジャロ」という薬の名前を耳にする機会が増えています。
マンジャロは、もともと糖尿病の治療に使われる薬です。
一方で、食欲を抑える作用などがあることから、体重減少に関連して話題になることも多く、ダイエット目的での使用についてさまざまな議論が起きています。
ただし、薬は本来、患者さんの状態や適応を医師が確認したうえで使用するものです。
「体重を落としたいから使う」という単純な話ではなく、どのような目的で、どのような状態の方に使うべきなのかを慎重に考える必要があります。
マンジャロとゼップバウンドの違い
少しややこしいのですが、マンジャロと同じ成分を含む薬として、ゼップバウンドという薬があります。
成分は同じでも、薬の名前が違い、対象となる病気も異なります。
マンジャロは糖尿病治療薬として使われる薬であり、ゼップバウンドは肥満症治療薬として位置づけられています。
つまり、同じ成分であっても、どの病気に対して、どのような目的で使うかによって、薬としての扱いが変わるということです。

※適応外使用とは
国内で承認されている医薬品を、国が認めた効能・効果や用法・用量以外で使用することを指します。
最近問題になっているのは、本来の適応や医師の管理を十分に確認しないまま、安易に体重減少を目的として使われるケースが増えていることです。
薬には効果が期待できる一方で、副作用や注意点もあります。
そのため、必ず医師の診察を受け、必要性を判断したうえで使用することが大切です。
肥満症治療薬は、誰でも使えるわけではありません
肥満症治療薬と聞くと、「体重が気になる人なら誰でも使える薬」と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
肥満症には一定の基準があり、一般的にはBMIなどを用いて体格を評価します。
BMIは、身長と体重から体格を判断するための指標です。
ただし、単にBMIが高いかどうかだけで判断するわけではありません。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気があるか、あるいは肥満に伴う健康障害があるかどうかも、重要な判断材料になります。
肥満に関連する健康障害の中には、整形外科で診るような運動器疾患も含まれます。
たとえば、変形性関節症や、背骨に関する病気などです。
体重が増えることで膝や腰に負担がかかり、痛みや動きにくさにつながることがあります。
そのため、一定の基準を満たし、関節や腰などに負担が出ている方に対しては、体重管理を医療の一部として考えることがあります。
整形外科の視点で見ると、体重の変化は関節の痛みに大きく関わります。
特に膝関節では、体重が1kg変わるだけでも、歩行時に膝へかかる負担にはそれ以上の影響が出ると考えられています。
体重が少し減るだけでも、膝にかかる負担が軽くなり、痛みの軽減につながる可能性があります。
実際、海外の変形性膝関節症の治療方針では、初期の対応として体重管理が重視されることがあります。
膝が痛い方に対して、薬や注射、手術だけを考えるのではなく、体重をどう管理するかは非常に大切なテーマです。
ただし、ここで注意が必要なのは、体重を落とせば何でもよいわけではないということです。
体重が減ったとしても、同時に筋力まで落ちてしまうと、関節を支える力が弱くなり、かえって痛みや不安定感につながる可能性もあります。
整形外科の治療では、体重を減らすことだけでなく、筋力を維持しながら、関節にかかる負担を減らしていくことが大切です。
関節が痛い方ほど、体重管理が難しいことがあります
体重を管理するうえで基本となるのは、食事や運動です。
しかし、関節が痛い方にとって、運動で体重を落とすことは簡単ではありません。
「歩くと膝が痛い」
「運動しようと思っても腰が痛い」
「体重を落とした方がいいと言われても、動くこと自体がつらい」
このような方は少なくありません。

関節の痛みがあると活動量が減り、活動量が減ることで体重が増えやすくなり、さらに関節への負担が増える。
このような悪循環に入ってしまうこともあります。
そのような場合に、医師の管理のもとで薬をうまく活用し、体重管理をサポートするという考え方は、選択肢の一つになり得ると思います。
もちろん、GLP-1作動薬を誰にでもすすめるという話ではありません。
適応ではない方に安易に使うべきではありませんし、単なる美容目的や自己判断で使用するものでもありません。
大切なのは、その方の体の状態、病気の有無、関節の痛み、生活習慣、筋力などを総合的に見たうえで、必要かどうかを判断することです。
薬だけに頼らず、適切な管理が大切です
GLP-1作動薬は、体重管理の助けになる可能性があります。
一方で、薬だけで健康がすべて解決するわけではありません。
体重が減ること自体は、関節にとって良い影響をもたらすことがあります。
しかし、必要以上に体重を落としたり、筋肉量が減ってしまったりすると、整形外科的にはマイナスになる場合もあります。
関節を守るためには、体重だけでなく、筋力、柔軟性、歩き方、日常生活での身体の使い方も大切です。
そのため、薬を使う場合でも、医師の管理のもとで、食事や運動、リハビリなども含めて考えていく必要があります。
「体重を減らすこと」が目的なのではなく、「痛みを減らし、動きやすくなり、生活の質を上げること」が本来の目的です。
使うかどうかは、必ず医師に相談を
GLP-1作動薬や、それに関連する薬は、今後も体重管理や肥満症治療の選択肢として注目されていくと思います。
特に整形外科の領域では、体重管理が膝や腰への負担軽減につながる可能性があるため、うまく活用できれば、患者さんにとって大きな助けになる場合があります。
ただし、薬の使用には適応があります。
また、保険適用で使用できるかどうかについても、患者さんの状態や医療機関の施設基準などによって異なります。
そのため、自己判断で使用するのではなく、必ず医療機関で相談したうえで検討することが大切です。
お茶の水セルクリニックでも、関節の痛みや体重管理についてのご相談をお受けしています。
・膝や腰の痛みがあり、体重管理について悩んでいる方
・運動したいけれど痛みがあって続けられない方
・薬を使った体重管理について知りたい方
そのような方は、一度ご相談いただければと思います。
体重、筋力、関節の状態、生活の状況を含めて、どのような選択肢があるのかを一緒に整理していきましょう。
※今回の内容は以下の動画でも見ることが可能です。
何かご不明な点等ございましたら、当院の公式サイトからお気軽にお問い合わせください。
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