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【間葉系幹細胞の安全性について】—スタッフブログ

2020年11月17日(火)

こんにちは!看護師の湯本です。

今回は、当院で使用している間葉系幹細胞の安全性についてお話したいと思います。

昨今、「再生医療」や「幹細胞」についてメディアでも取り上げられることが多くなり、

その言葉を耳にしたことがある方も増えてきていると思います。

当院では、数種類ある幹細胞のうちの一つである「間葉系幹細胞」を使用しています。

間葉系幹細胞は、他の幹細胞に比べて臨床応用がしやすい幹細胞として、

臨床での利用が増加しています。

利用が増加したとはいえ、幹細胞治療という大半の方が聞き慣れない治療であるため、

その安全性について疑問視している方もいらっしゃいます。

そのような方にぜひお読みいただき、少しでも疑問や不安が払拭できればと思います。

 

間葉系幹細胞とは

間葉系幹細胞は体の中に元々ある幹細胞です。

骨髄、脂肪細胞、臍帯血、歯髄などの中に存在する幹細胞で、細胞分裂して増殖する能力「増殖能」が

非常に高く、また、神経や筋肉、脂肪、骨などに分化する「多分化能」を持っていることが特徴です。

 

他の幹細胞との違い

脂肪由来間葉系幹細胞の安全性についてご説明する前に、他の主な幹細胞との違いについて解説していきます。

iPS細胞

幹細胞の中でもiPS細胞は特に知名度が高い細胞です。

iPS細胞は、1個の細胞から全ての組織・臓器をかたち作ることができる万能細胞と呼ばれています。

人体への移植後に腫瘍化することが懸念されていますが、そのメカニズムを解明し安全性を高めるために

京都大学では日夜研究が進められているようです。

ES細胞

iPS細胞の他にもう一つ万能細胞と呼ばれているのがES細胞です。

ES細胞も1個の細胞から全ての組織・臓器をかたち作ることができます。

ヒトES細胞を臨床に応用することにつては研究段階であり、現時点ではまだ実現されていません。

ES細胞は、初期の受精卵の一部から得るもので、そのためには受精卵を犠牲にする必要があります。

そのほとんどは体外受精で余った受精卵を使用しますが、生命の萌芽である受精卵を滅失してしまう

という倫理的な問題は避けられません。

 

間葉系幹細胞の安全性

間葉系幹細胞は身体の中にもともと存在する細胞です。

iPS細胞のように人工的に作り出した細胞ではないので、身体に投与した場合の安全性が高いです。

また、ES細胞のように倫理的な問題点もありません。

間葉系幹細胞はiPS細胞やES細胞のような万能細胞ではありませんが、体内にいる間葉系幹細胞は

組織の保護・修復や炎症の鎮静など、病気や怪我からの回復などで大きな役割を果たしています。

また、当院ではご自身の間葉系幹細胞を増やして戻すため、拒絶反応も起こりません。

以上のことから、間葉系幹細胞を用いた治療は、非常に安全性が高いと言えます。

 

再生医療の安全性

当院で行う幹細胞治療は、再生医療の一部です。

再生医療全般は、法律の面からも安全性確保についての整備が行われています。

日本では、2014年11月に「再生医療等の安全性確保等に関する法律」(再生医療安全性確保法)が施行され、

その趣旨として「再生医療等の迅速かつ安全な提供等を図るため、再生医療等を提供しようとする者が

講ずべき措置を明らかにすること」とされています。

再生医療を行う医療機関はこの法律に則って治療を行い、行った治療の全症例に関して

厚生労働大臣への報告義務もあります。

当院でも毎年、幹細胞投与を行った件数や投与後の評価をまとめたものを報告しています。

 

価格設定が安いから心配??

患者様からの声として時々挙がってくるのが、

「他のクリニックに比べて随分価格が安いが、何が違うのか、逆に不安だ」というようなご意見です。

確かに低価格です。

開院時に掲げられた当院の使命は、再生医療が患者様にとってより有効で身近な存在になるよう

日々努力をするという事です。

少しでも多くの患者様に幹細胞治療を提供できるよう考えた結果の価格設定です。

もちろん、投与する幹細胞のクオリティにも自信を持っています。

東京大学との共同研究を通じて、今後の再生医療の発展のために努力し続けます。

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