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院長のコラム―『幹細胞の種類』

2020年09月22日(火)

今回は、幹細胞の種類についてお話します。

 

1. 間葉系幹細胞とは

体の中に元々ある幹細胞で、最も治療に用いられている幹細胞です。

当院で扱っているのがこの幹細胞です。

英語ではMesenchymal stem cellsと呼ばれ、MSCという略語で呼ばれていました。

しかし、MSCは1種類の細胞だけではなく、数種類の細胞から構成されているため、単純に「幹細胞」と呼ぶのは矛盾があるかもしれません。

間葉系幹細胞群と呼ぶのが正しいように思います。

 

2. iPS細胞とは

ニュースでも良く聞くiPS細胞。

山中伸弥先生(元々は整形外科の先生です)がノーベル賞を受賞することになった研究ですが、とても能力の高い幹細胞です。

遺伝子導入という技術を使って作った幹細胞のため、自然界には存在しません。

そのまま使うと癌化するリスクがあるため、使いたい細胞に分化させてから使います。

 

3. ES細胞とは

受精卵から作る幹細胞のことを指します。受精卵が成長する途中の段階でバラバラにすることでES細胞を作る事ができます。

とても能力の高い幹細胞ですが、受精卵は、そのまま成長すると人間になることから、倫理的な問題が多い細胞でもあります。

研究の歴史はiPS細胞よりも長く、欧米ではES細胞を使った治療法の開発を目指している人もいます。

 

4. MUSE細胞とは

体に元々ある幹細胞のうち、特に能力の高い細胞として東北大学の出澤先生らが発表した細胞です。

特殊な抗体を使って選別する方法で見付けることができます。

数はとても少ないと考えられていますが、細胞の能力はiPS細胞やES細胞に匹敵するのではないかと言っている人もいます。

 

5. RECRapidly Expanding Cell)とは

島根大学が発表し、実用化を目指している幹細胞です。体に元々ある細胞です。

培養速度(細胞が増える速度)が早いという特徴があり、選別の方法が比較的容易な点に特徴があります。

培養速度が速いだけでなく、分化する能力も高く、細胞が老化していないという特徴も持っています。